中国メーカーの動きに注目、携帯機器用AMOLEDディスプレイ市場動向 ― IHSアイサプライが報告

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調査会社IHSアイサプライが、アクティブマトリクス型有機EL(AMOLED)の出荷数量予測を発表。また、中国パネルメーカーが今後数年間で携帯電話・スマートフォン用AMOLEDディスプレイの主要メーカーになることを狙っているとして、その動向をまとめています。

2015年までのアクティブマトリクス型有機EL世界出荷数量予測 (source: IHS iSuppli)

AMOLED市場予測

同調査によると、2011年のAMOLED出荷数は7370万ユニットで、前年比55%増という高い伸びが見込まれています。さらに、2012年には同110%増と今年を上回る伸びが予測され、2015年まで二桁成長が続くとしています。2015年には、AMOLED出荷数量が2億9730万ユニットに達し、伸び率は2010年比6倍超になると予測しています。

IHSアイサプライでは、高い成長性が見込まれるAMOLEDに中国メーカーが注目しており、モバイルディスプレイ業界での影響力を強めようとしていると指摘。中央政府および省レベルの融資を受けつつ、生産能力の増強を図っているといいます。

AMOLEDと液晶の比較

現在、携帯電話用ディスプレイは液晶と有機ELが二つの主流方式。AMOLEDは有機ELディスプレイの一種です。AMOLEDは、液晶と比べるとハイコントラストな画像を表示でき、視野角が広く、応答速度が速いなどの特徴があります。また、消費電力が低いため、バッテリ寿命を保たせることが重要課題である携帯機器用のディスプレイには特に適した技術であるといえます。

現在の携帯電話用ディスプレイでは、液晶が95%程度の市場シェアを持っており、AMOLEDのシェアは4%しかありませんが、2015年には液晶のシェアは88%まで下がり、AMOLEDの割合は10%まで上がると見られています。

今日、携帯電話向けにAMOLEDを採用しているメーカーとしては、サムスン、ノキア、HTC、モトローラなどがありますが、各社ともスマートフォンの上位機種にしか使っていません。一方、アップルのiPhoneは、低温ポリシリコン液晶とIPS液晶を採用しています。

中国企業の動向

中国企業は現在、AMOLEDパネル工場の建設に巨額の投資を行っているところであり、同時に技術面での研究開発にも注力しています。

投資額が最も大きいのはBOEテクノロジー・グループであり、その額は34億ドルに上っています。しかし、IRICO Group Electoronics(彩虹集団電子、本社:陝西省)が保有する2工場や、Tianma Microelectronics(天馬微電子)の上海工場にも相当の額が投資されています。

天馬の上海工場と彩虹集団の2工場は、来年から量産を開始する予定。また、彩虹集団の第3工場は、2014年に生産開始を予定しています。IHSアイサプライのデータによれば、その他の中国企業として、Visionixも2013年にAMOLED工場での量産開始を計画しているといいます。

しかしながら、経済環境の厳しさ、AMOLED生産の低コスト化の見通しがなかなか立たないこと、中国メーカーのディスプレイ生産に関する技術・品質面での市場の懸念など、多くの要素が相まって、工場への投資と量産スケジュールに遅れや中断が出る可能性はある、ともIHSアイサプライは指摘します。

現在AMOLED市場を占有している韓国のサムスンモバイルディスプレイとLGディスプレイ、また、AUO、RiTディスプレイ、ChiMei Innoluxなどの台湾勢に対しては、中国企業の市場参入が潜在的プレッシャーとなり得ます。

中国メーカーは山積する課題に直面するでしょう。特に国内企業が、92%という絶大なシェアを保有するサムスンに勝つのは難しいと気づくことになるでしょう。さらに、AMOLEDの結晶化プロセスは従来の液晶に比べて歩留まりが低く、このことが市場の需要・価格に効率的に対応したAMOLED生産を行う上での障害となってきます。これに関連して、有機ELの蒸着プロセスも、メーカーに負担を強いるコスト高な要素となります。

つまり、AMOLED事業に着手するにあたって、メーカーは製造プロセスを開発・洗練し歩留まりを向上させ低コスト化を実現するために多大な時間をかける覚悟をしなければならないということです。これに長い時間がかかるということは、投資回収に遅れが生じるということを意味します。こうした様々な問題に中国企業がどのように取り組むかによって、AMOLED産業における中国の競争力と収益性が決まる、というのがIHSアイサプライの見解です。


発表資料

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