豪マードック大、ユーカリの葉の疎水性をナノレベルで解明。ナノテク材料への幅広い応用に期待

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西オーストラリア南西部に自生するユーカリの葉に備わっている撥水能力と自己洗浄能力は、葉の表面におけるナノレベルの特性によるものであると、マードック大学の研究チームが報告しています。撥水・洗浄機能をもつユーカリの成分を抽出することで、ナノテク材料への幅広い応用が期待できそうです。

モトルカーの葉の上で液滴状になった色水 (Image courtesy of Murdoch University)

ユーカリの一種で、大きな花を咲かせることで知られているモトルカーという植物は、銀色がかった葉を持っており、葉の表面はワックスで覆われているのが特徴。このワックスは、葉の表面にナノサイズの突起と柱状構造を形成し、水を液滴状にする効果があるといいます。

水滴となった水が葉の表面をころころ転がりながら根元に向かって落ちていきます。その途中で、葉に付着した泥などの汚れが、水滴によって拭きとられるのだといいます。

このような高い疎水性と自己洗浄能力については、ハス科の植物でも類似した特性が見つかっており、これにヒントを得た様々な自己洗浄技術や抗菌技術が開発されています。マードック大 応用ナノテクノロジーグループの Gerrard Eddy Jai Poinern博士らは、ユーカリに関する今回の発見についても、医療研究用のラボ・オン・チップから、有害微生物・動植物の船体への付着防止処理まで、多様な技術に応用できる可能性があるとしています。

「私たちが行った実験の一つに、レーザープリンターで使われているカーボンブラックのトナーをモトルカーの表面に塗り、転がる水滴がどのように葉の表面を洗浄するかを観察するというものがあります」とPoinern氏。

「ユーカリのワックスによって形成される表面形状が、葉に顕著な湿潤性と自己洗浄能力を与えているために、このような現象が起こるわけですが、これは、モトルカ―が乾燥した気候で生き延びる能力を強めていると私たちは考えています。水分を集め、効率良く根に運ぶ効果があるからです。通常、高い疎水性を持っているのはほとんどが水生植物であり、この点モトルカーは非常に珍しい存在です」

研究チームは、モトルカーの葉からワックス成分を抽出し、それが自己組織化能力を持っていることも発見しました。実験用のスライドガラスにワックスを塗ると、葉の表面で見られるものと似通ったナノサイズの突起と柱状構造から成る三次元形状が形成され、スライドガラスが高い疎水性を示すようになったのです。

「葉からのワックス成分抽出は、極めて簡単かつ安価な方法で行うことができ、しかもワックスの疎水特性は維持されたままでした。スライドガラスを水の表面に水平に置くと、付加された浮力で支持されるため、ワックスを塗っていないスライドガラスに比べて大きな荷重を支えられるようになりました」

医療分野の研究や病気の診断に使われるマイクロ流体デバイスでは、繰り返し使用されるデバイスの滅菌性を保つ上で、こうしたコーティング技術が役立つ可能性があると研究チームは指摘しています。また、西オーストラリアに自生する他の種類の植物についても、同様の特性を持つものがあると考えられるとのこと。研究チームは今後も調査を継続し、応用可能性を検討していきたいとしています。


発表資料

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