「GaN半導体は無毒で生体適合性高い」ノースカロライナ州立大らが報告。バイオ医療・インプラント分野でのGaN応用に期待

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半導体材料の窒化ガリウム(GaN)は、無毒であり、ヒトの細胞への適合性が高いという研究報告を、ノースカロライナ州立大学とパデュー大学の研究チームが行っています。バイオ医療・インプラント技術において、GaNを様々な用途で利用できる可能性が出てきました。

ペプチド被覆GaNの上に成長した細胞のSEM画像(Image courtesy of North Carolina State University)

GaNは現在、主にLEDや光学センサなどで用いられていますが、バイオ医療・インプラント分野で広く使われている材料ではありません。今回の発見は、アルツハイマー病のための神経刺激療法用の電極や、血液成分モニター用トランジスタなど幅広い用途で、GaNを生体インプラント材料として利用できる可能性が高いことを示すものです。

「今回初めて分かったことは、これまでインプラント用途に検討されてきた他の半導体材料と異なり、GaNには毒性がないということです。GaNは、環境と患者へのリスクを最小化します」と研究チームの Albena Ivanisevic博士は話しています。

研究チームは、人体を模した条件での様々な環境にGaNを曝したときに、どのくらいの量のガリウムがGaNから放出されるかを、質量分析法を使って調査しました。これを調べることが重要なのは、酸化ガリウムが人体への毒性をもっているからです。しかし、その結果分かったことは、これらの環境下でGaNが非常に安定しており、極微量放出されるガリウムは無害ということだったといいます。

また、GaNの生体適合性について調べるために、研究チームは、GaNをペプチドで被覆してみました。ペプチド被覆したGaNと被覆していないGaNを細胞組織内に置き、GaNと細胞がどのように相互作用するかを観察したところ、ペプチド被覆GaNでは非常に効率よく細胞との結合がみられたといいます。

「GaNを材料に用いることで、ある種の細胞の挙動をコントロールすることもできる」とIvanisevic氏は言います。例えば、細胞をある物質に付着させたり、あるいは付着を防いだりするということです。

生体埋め込み型センサなどが抱えている問題の一つに、センサが体内の生体物質に包まれてしまうということがあります。今回の研究では細胞と結合しやすいペプチドでGaNを被覆できることが示されましたが、これは、細胞の成長を抑制する働きがあるペプチドでも、同じようにGaNを被覆できる可能性を示唆しています。これを応用して、埋め込みデバイスに生体物質を付着させずにきれいに保つこともできようになるかもしれません。研究チームは、このような「抗付着物」特性をもつGaNの利用についての調査を行うことが次の課題だとしています。


発表資料

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