豊田中央研究所、二酸化炭素を利用する高容量リチウム空気電池を開発。従来比3倍の放電容量

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豊田中央研究所が、酸素(O2)と二酸化炭素(CO2)の混合ガスを利用した高容量のリチウム空気電池を開発したとのこと。いまのところ放電しかできない一次電池ですが、酸素だけを導入ガスとする従来のリチウム空気電池と比べて、約3倍の放電容量をとることが可能。2011年10月17~20日に東京で開催された第52回電池討論会で報告しました。

(上)二酸化炭素を利用するリチウム空気電池の放電カーブ。CO2混合比30~70%では、導入ガスが酸素のみの場合とくらべ放電容量が3倍向上している。(下)放電前と放電後の正極のSEM画像。放電後(b)に炭酸リチウムが非常に高密度に充填されている (豊田中央研究所、第52回電池討論会 講演要旨集から抜粋)

実験に使われたのは非水系リチウムイオン電池で、正極にケッチェンブラック(バインダとしてPTFE)、負極に金属リチウム、電解液に1M LiTFSI/EC+DECを使用。ラジカルトラップ剤であるDMPOなどを電解液に添加すると反応中の酸素ラジカルが捕捉されることで電池の放電容量が向上するという効果があることから、同様にラジカルトラップ効果のあるCO2をO2に混合することによって高い放電容量の実現をめざしたとしています。

実験の結果、10%のCO2混合比によって放電容量が倍増し、30~70%のCO2を混合した時に最大5860mAh/gの高容量を示しました。CO2の混合比をこれ以上増やすと、還元種であるO2が足りなくなるため、容量は低下。また、大気中に含まれるppmオーダーの薄いCO2では、この効果は認められないとのこと(実験では、高濃度のCO2をボンベから供給)。

今回開発された電池の放電反応では、正極側に炭酸リチウムが生成されます。炭酸リチウムを電気化学的に分解することが困難なため反応は非可逆的であり、現状では1回放電すると充電はできない一次電池となっています。研究チームは、自動車の排気ガスなど高CO2含有ガスを利用した超高容量一次電池などへの応用が期待できるとしています。

放電後の正極を電子顕微鏡で観察すると、生成された炭酸リチウムが正極内に非常に高密度に充填されていることが分かりました。この高密度充填が電池の高容量化に寄与していると考えられており、その詳細なメカニズムについては現在解析中とのこと。炭酸リチウムが生成されるまでには数段階の反応プロセスを経ていることから、そのどこかに反応速度の遅いプロセスがあると見られており、このために炭酸リチウムの析出までにタイムラグがかかり、電極上から離れた部位に析出することで目詰まりしにくくなって放電が継続的に起こることで高容量化すると考えられるとしています。

現状の一次電池から充放電が可能な二次電池化をめざすという開発方向もありますが、発表者の武市憲典氏は「せっかく炭酸リチウムに固定したCO2をもう一度分解して充電反応に用いる二次電池よりも、CO2をどんどん固定しながらエネルギーを発生させる燃料電池的なデバイスを開発する方が面白いかもしれない」と話しています。

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