【CEATECレポート③】EVの進化を支えるモータ、インバータ

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電気自動車(EV)の高性能化は、モータ、高効率パワーモジュール、高容量バッテリ、車体軽量化材料の開発など、様々な領域での技術革新が相乗してはじめて可能になるものです。今回は、CEATEC JAPAN 2011の展示内容から、モータとパワーモジュール関連の技術についてまとめてみました。

インバータ一体型モータ(ローム/安川電機)

SiCパワーモジュールと巻線切替用QMETモジュール(ローム/安川電機)

オールSiCパワーモジュール(次世代パワーエレクトロニクス研究開発機構)

EVでは、バッテリから送られる直流電流をインバータで三相交流に変換し、モータ駆動に使っています。従来、インバータ回路にはシリコン半導体のパワーデバイスが使われてきましたが、最近は、これをシリコンカーバイド(SiC)に置き換えようという研究開発が盛んに行われています。SiCパワーデバイスをEVに導入する最大の意義は、インバータの冷却部を大幅に減らせるということ。SiCはシリコンに比べて高耐圧・高温下での高速動作が可能なため、インバータ自体はほとんど冷却する必要がありません。冷却部は、受動素子の熱対策など必要最小限のものだけで良くなり、モジュールの劇的な小型化が可能になると期待されます。

ロームは、安川電機と共同で開発したEV用インバータ一体型モータを展示。従来のインバータモジュールは冷却部が大きく、モータと一体化することは難しいとされてきました。現行のEVでも、インバータとモータは別々に設置され、ケーブルで接続されています。一方、今回参考出品された試作開発品では、SiCパワーデバイスを用いることで冷却部を小型化。コントローラ部、インバータ部、巻線切替システム部およびモータの一体化を実現しています。モジュールがコンパクト化できることに加え、接続ケーブルが不要になるためケーブル周りの電磁ノイズ対策コストが削減できるメリットもあるとのこと。

なお、インバータ部とモータの間に設けられている巻線切替システム部は、モータの回転数に応じて巻線をタップ切替し、モータの出力特性を制御するための機構です。一般に、モータの回転数が上がると誘起電圧が発生しますが、そのまま誘起電圧が上がり続けてバッテリ電圧を超えてしまうと電流が流れなくなるため、同システムでは、高速回転時には少ない巻数に切り替えることで誘起電圧を下げるように制御しています。この制御によって、モータの高速回転時であってもモジュール全体を600V動作に保つことができ、最高12000回転で最大出力65kWを実現しているとのこと(逆に、プリウスなどでは、高速回転時には昇圧チョッパでインバータの電圧を上げる制御が行われており、インバータ耐圧が900V程度必要になっている)。

EV向けSiCパワーデバイスは、ローム以外に、次世代パワーエレクトロニクス研究開発機構でも開発が進められており、ダイオード、MOSFETなどモジュール構成要素をすべてSiCで形成したオールSiCパワーモジュールが、NEDOブースで展示されていました。こちらは多数の企業が参加する国家プロジェクトですが、研究開発の中心は、日産自動車、サンケン電気、富士電機となっているようです。

インホイールモータ型EV(シムドライブ)

EV/HEV用VRレゾルバ(航空電子)

航空電子のブースには、シムドライブが開発したインホイールモータ型EV「SIM-LEI」が展示され、航空電子がEV/HEV用に製品化している可変磁気抵抗(VR)型レゾルバなども出品されていました。VR型レゾルバは、磁場を用いてロータ角度の検出を行う部品であり、三相モータの駆動用に使われます。温度、水、油、振動などに対する耐環境性能が優れており、自動車用途に適合しているのが特徴。レゾルバは、積層鉄板上に絶縁プラスチック層を形成し、その上にコイルを配置した構造となっており、モータとは仕組みがよく似ています。このため、モータとの親和性が高いとされています。


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