マンチェスター大、原子レベルで形状制御が可能なグラファイト毛細管を作製

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マンチェスター大学の研究チームは、グラファイトからグラフェンを一部除去することによって、グラファイト内部に微小な空洞や毛細管構造を形成することに成功した。原子レベルの精密さで形状制御した毛細管を人工的に作れることになるため、分子輸送技術やナノ流体力学などの分野への応用が期待できる。2016年9月7日付けの Nature に論文が掲載されている。

グラファイト毛細管のイメージ(出所:マンチェスター大学)

通常、グラフェンの研究では、グラファイトからグラフェンを剥離し、余ったグラファイトは捨てられる。しかし今回は、余ったグラファイトの方に着目し、グラフェン除去後のグラファイト内に形成される空洞について詳しく調べた。

研究チームは、グラファイトの積層体から除去するグラファイトの層数を精密に制御することによって、上部と下部に分離したグラファイトの隙間を多層グラフェンのスペーサーで支えた構造が形成できることを実証した。すなわち原子レベルで極めて平坦な面を持つ微小な空洞や毛細管構造を作り出したことになる。このような微細な毛細管を人工的に形成することは、表面粗さを抑えることが困難であるため、これまで成功した例がなかった。

オングストロームレベルで高さを制御した均一な空洞は様々な分子の閉じ込めなどに利用できる。空洞の両端を開口すればガスや液体を流すことができる毛細管流路となる。

研究チームは実際にこの流路内に水を流し、流速を測定した。その結果、水の流速は予想を上回る速さとなり、最高で毎秒1mにまで達することが分かった。このようにグラファイトの微小流路内を水が高速で通過していく理由については、空洞内の圧力が1000bar程度と高いこと、滑り長さの値が大きいことなどが考えられるとしている。


発表資料

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