MIT、チェレンコフ放射によるグラフェンの電気-光変換現象を解明

このエントリーをはてなブックマークに追加
Share on Facebook

マサチューセッツ工科大学(MIT)らの研究チームは、グラフェン内部で電気を光に変換する新原理を解明した。チェレンコフ放射(荷電粒子の速度が媒質中の光速を超えるときに光が出る現象)を利用する。2016年6月13日付けの Nature Communications に論文が掲載されている。

グラフェン中でのチェレンコフ放射の概念図(出所:MIT)

グラフェン中でのチェレンコフ放射の概念図(出所:MIT)

チェレンコフ放射は、物質中を進む荷電粒子の速度がその物質中での光速を超えるときに光の衝撃波が生じる現象である。その仕組みは航空機が「音速の壁」を超えたときに生じる衝撃波(ソニックブーム)に類似している。天文学上の超高速の宇宙粒子や、高エネルギー加速器内などで見られる現象であり、通常の地上の技術でチェレンコフ放射が起きることはないと考えられてきた。

しかし、研究チームは今回、グラフェンの内部でチェレンコフ放射による発光が実際に起こりうることを理論的に明らかにした。

グラフェンに光を照射したとき、表面プラズモン効果により、真空中での光速度の数百分の1まで光が減速されることがある。また、グラフェン中では、電子が質量を持たない粒子(ディラックフェルミオン)として振舞うため、106m/s程度(フェルミ速度)という超高速で動けるようになる。このフェルミ速度が、グラフェン中で減速された光の速度とほぼ一致するため、電子が光速を超えることでチェレンコフ放射が発生するという。

図は、グラフェン中でのチェレンコフ放射の概念を表したもの。グラフェン上を電子(明るい色の矢印)が超高速で動くとき、衝撃波が発生し、プラズモン(赤い矢印)が2方向に射出される。

この現象を利用することで、ナノスケールのデバイスにおいて電気信号を効率よく光に変換できると考えられるため、光コンピュータ用チップにも応用できる可能性がある。今回の研究は理論的な段階であり、研究チームでは今後、このコンセプトを実デバイスを使って実証していくとしている。


MITの発表資料

おすすめ記事

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...