【CEATECレポート①】太陽電池のニッチな用途開発に注目

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震災、原発事故を経て、再生可能エネルギーへの関心が高まる中での開催となったCEATEC JAPAN 2011。例年デジタル家電やAV、携帯機器、ゲーム機などが主役となる幕張メッセ1~3ホールにも、今年は「スマートコミュニティ・ゼロ」と題するエネルギー関連の特設エリアが設けられ、大きな注目を集めました。これから数回に分けて、CEATEC2011で展示された環境・エネルギー関連の技術をレビューしていきたいと思います。

エネルギー関連技術を集めた特設エリア「スマートコミュニティ・ゼロ」は、CEATEC会場でも最も目立つ位置に大きなスペースが取られていた。

最初に取り上げたいのは、やはり太陽電池。特に興味深かったのは、有機薄膜や色素増感型など、シリコン系以外の太陽電池技術を利用したニッチな用途開発が進んでいることです。これらの太陽電池は、太陽光を電気に変える変換効率だけをみると高くても5%程度しか出ておらず、効率20%前後のものも商用化されているシリコン系太陽電池に比べて見劣りするように見えます。しかし、これらをうまく使うことによって、シリコン系ではカバーしにくい領域でも、太陽光エネルギーの利用を広げていけると期待できます。

シースルー太陽電池フィルム(住友スリーエム)

有機薄膜太陽電池では、住友スリーエムが、窓ガラスなどに貼って発電に利用できるシースルータイプの太陽光発電フィルムを開発しています。フィルムを貼ったガラスの色が緑がかって見えるのは、可視光のうち赤色の波長の光を吸収して電気に変えているため。変換効率は、実使用で2.4%、実験室では4%とのことですが、シリコンと比べて散乱光の吸収性が良く、太陽光の入射角度が浅い朝夕の時間帯でも変換効率があまり落ちない、室内光も発電に利用できるなどの利点があります。技術担当者によれば「オフィスビルでは建物の表面積に占めるガラスの割合が高いため、窓ガラスや外壁などには有機薄膜、屋上には変換効率の高いシリコンと使い分けることによって、特に都会での発電面積をかせぐことができるようになる」とのこと。また、このフィルムは発電機能に加え、遮熱効果もあるのが特徴。ブースではフィルムの表面に温度センサを設置し、光が当っている面の温度が40℃を超えても反対面は28℃に保たれている様子をデモ展示していました。災害時などにガラスの破片落下を防ぐ飛散防止粘着剤も使用されています。

光ディスク型の色素増感太陽電池(太陽誘電)

太陽誘電は、光ディスク型プラスチック色素増感太陽電池を展示。災害・停電時の非常用電源用途を想定して開発されており、軽量化可能で形状の自由度が高いという色素増感太陽電池の特徴をうまく使った製品設計が行われています。外形寸法は、直径120mm、厚さ0.3mm。中央に穴のあいた基板形状は、「受光面積をできるだけ多く取る」という太陽電池の基本から外れているように見えますが、普通の光ディスク用バルクケースに多数枚重ねて収納し、持ち運び可能にする意味があるといいます。

光ディスク用のバルクケースに収納できる(太陽誘電)

配線用のシートもくるくる丸めて運ぶことが可能なため、被災地の避難場所などにシートを広げ、太陽電池を並べるだけで、非常用電源として使用できるとしています。ディスクの穴をシート側の電極に挿すだけの簡易な設置作業で済むように、太陽電池の電極引出しは、正極側・負極側ともにディスクの裏面で行う構造。また、既存の光ディスク製造ラインを太陽電池製造用に転換できるようにすることも、この形状を採用した目的のようです。


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