豪州グリフィス大学とスインバン大学の研究チームは、グラフェンを利用した三次元ホログラフィックディスプレイを開発した。3Dメガネなどのアクセサリを使わずに、立体のホログラム静止映像をフルカラー表示できる。2015年4月22日付けの Nature Communications に論文が掲載されている。
今回開発された3Dディスプレイでは、パルス光によって非熱的に還元された酸化グラフェン還元体を画像表示用の画素として利用している。フェムト秒パルスレーザービームを照射して酸化グラフェンを還元すると、屈折率が変化する。酸化グラフェンを分散させた感光性樹脂の屈折率を画素単位で調節することによって、ホログラムの表示が可能になる。
今回の表示デバイスは最大視野角52°となっており、視野角が数度しかない従来の3Dホログラフィック液晶ディスプレイと比較するとかなり広い。理論的には、画素を小さくすればするほど、視野角を大きく取ることができる。ホログラムのフルカラー表示は、酸化グラフェン還元体の屈折率の変化が可視光の波長域で一定であることを利用して実現した。
作製したデバイスで表示できる立体像の大きさは最大で1cmしかないが、技術的にはもっと大きな画像の表示にも拡張可能であるという。研究チームは、今回の技術を使って、数十cmスケールのウェアラブルな3Dディスプレイを5年以内に完成させるとしている。
スインバン大学の発表資料
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