ワッティー、研究開発用途向けに新しいALD成膜装置を開発

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ワッティーは、研究開発用途向けに新しいALD成膜装置を開発した。ALD(Atomic Layer Deposition:原子層堆積)は、原子1個分という極めて薄い膜を緻密に形成できる成膜プロセス。最先端の半導体デバイス製造で使われている他、最近ではガスを透過させないバリアシートや、微粒子へのコーティング技術など、様々な分野でALDが利用されるようになってきている。

ALD成膜装置(ワッティー)

ALD成膜装置(ワッティー)

■装置の特徴

ALD装置をはじめて導入するユーザーにも問題なく扱えるように、安全面を考慮した設計によって、事故災害の未然防止を追求した。除害筒やプリカーサボトルの交換を半自動で行えるため、ユーザーは装置からの指示に従って簡単かつ安全に交換作業を行うことができる。

プロセスレシピ編集の柔軟性が非常に高いことも同装置の特徴である。多様なレシピに対応可能なハード構成を備えており、ユーザーが希望する成膜手法、手順を最大限にサポートする。堆積物や余剰成膜物がチャンバーを汚染することがないように、石英製のインナーケースを備え、成膜はその内部で行なう。メンテナンス性も考慮されている。

有害な排気ガスの除害装置など、実際の使用で必要となる周辺設備も装置内に組み込んだ。このため、工場のような本格的なユーティリティを持っていない小規模なラボなどでも、この装置をスタンドアロンで稼働させることができるようになっている。ユーティリティ整備の負担を減らすことで、装置導入の敷居を下げる狙いだ。

現在対応可能な膜付け材料は、ハフニウム、チタン、アルミニウム、ジルコニウムとなっている。今後はタングステン、ルテニウム、ストロンチウム、バリウムなどにも対応していきたいという。

■ALDの仕組み

ALDはMOCVD(Metal Organic Camical Vaipor Deposition:有機金属化学気相成長)から派生したプロセスである。MOCVDは、窒化源や酸化源とプリカーサ(前駆体)である有機金属(MO)を同時に反応チャンバー内に導入し、気中で生成した反応物を基板表面に堆積させる。これに対して、ALDは、MOと窒化源(あるいは酸化源)を交互に導入するところに特徴がある。

まず基板表面にMOを化学吸着させてから、排気してチャンバー内をクリーンな状態に戻す。次に、窒化源または酸化源を導入して表面を窒化または酸化し、再び排気する。このプロセスを繰り返して、MOと窒化源・酸化源を交互に導入することで、極めて薄い膜が何層にも積み重なった金属層を得ることができる。一層分の膜厚は原子1個の直径に等しい0.7~0.9Å程度しかない。

酸化させた基板表面にあるすべてのOH基がMOと結合した時点で、反応がそれ以上起こらなくなるため、原子1個分の厚さの金属原子層が得られる。表面全体にびっしりと原子が充填されるため、膜質の均一性が高く、膜厚のコントロールが精密に行なえるという特徴がある。

表面の反応基と結合できずに余ったMOはチャンバー外に排気する。次に流す窒化源・酸化源も、最表面に並んだ金属原子だけと結合するので、余った窒化源・酸化源は排気して、クリーンな状態を保つ。良質な原子層を形成するためには、この排気を完全に行うことが非常に重要となる。排気が不完全であると、残存したMOと窒化源・酸化源が気中で反応し、その生成物が堆積することで膜の均一性や膜厚安定性などが損なわれるためである。

■3つの排気モードを装備

今回のALD装置では、排気の問題を克服するために、様々な排気モードを用意した。具体的には、時間モード、圧力モード、APC(Auto Pressure Control)モードという3つのモードを装備し、目的とする成膜手法にマッチするモードを選べるようにした。

一般的な排気方法である時間モードでは、時間を区切って排気し、設定時間が過ぎたら排気が完了したとみなす。圧力モードでは、チャンバーの圧力を常時監視し、設定した圧力に到達するまでは次のサイクルに移行させないことで、余剰な材料が残らないようにする。APCモードでは、チャンバーからの圧力信号をフィードバックしてバルブの開弁率をリアルタイム制御する。これによってチャンバー内圧力を設定通りに一定に保つ。

また、MO、窒化源・酸化源の排気系を、完全に切り分けていることも今回の装置の特徴である。通常のMOCVD装置ではこれらの排気はすべて同じ排気系で済ませているが、排気側でMOと窒化源・酸化源が反応した場合にも、反応生成物が逆拡散現象によってチャンバー側に戻ってくることがある。これを防ぐために、2台の専用ポンプと専用排気ラインを設けることで、排気側での反応が起こらないようにした。

このように意図しない場所で反応物が生成する状況を徹底的に絶ち、チャンバー内をクリーンな環境に保つことによって、プロセスマージンをかなり広く取れるようになり、条件付けの自由度の高いALDプロセスが可能になるというメリットが得られるという。

■ゲッター式精製器による高純度アルゴンを使用

チャンバー内の環境をクリーンな状態に保つという意味で、もう1つ重要なのがキャリアガスの純度である。

MOをチャンバー内に導入するときは、チャンバー内を真空にしただけでは上手く入っていかないため、マントルヒーターでMOを加熱し、加熱時のMOの蒸気圧と真空との差圧を利用して導入する。ただし、有機金属材料は蒸気圧が非常に低いため、蒸気圧だけでは導入に必要な圧力が得られない。そこでアルゴンなどのキャリアガスを使用することになるが、ALDのプロセスでは、このときのアルゴンの純度が非常に重要な条件となる。

純度の低いアルゴンをキャリアガスに使用すると、アルゴン中に含まれる水分、酸素、窒素、水素、炭素などの不純物が、チャンバーに到達する前にMOと反応してしまう。そこで今回は、高純度のアルゴンを利用できるように、不純物をゲッター剤に化学的に結合させるゲッター式のアルゴン精製器を装置内に搭載した。

通常よく使われる吸着式のアルゴン精製器は、低コストでコンパクトという利点があるが、比較的低い温度でも熱が加わると吸着した不純物が再離脱してしまい汚染源になるという問題がある。ALD装置は、装置全体の温度が比較的高くなるため、吸着式では不純物の再離脱リスクがある。このため高性能のゲッター式アルゴン精製器を採用した。吸着式とゲッター式でアルゴンに含有される水分を比較すると、吸着式では-100℃の露点だが、ゲッター式では-120℃以下の露点という非常に高い水分除去率が実現されるという。

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