「電子レンジで熱電材料できた」 オレゴン州立大が低コスト高速製造法を開発

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オレゴン州立大学の研究チームが、熱を電気に変換する熱電材料を短時間・低コストで製造する技術を開発したとのこと。この技術は、電子レンジで使われているマイクロ波を用いるのが特徴であり、自動車・機械・工場などから大量に出ている廃熱を低コストで電気エネルギーとして再利用するシステムの実用化に期待がかかります。

化合物InxCo4Sb12の構造図。中央の紫色がインジウムで、コバルトとアンチモンからなるカゴ状構造に内包されてラットリング運動する。青色がコバルト原子、茶色がアンチモン原子 (Graphic courtesy of Oregon State University)

今日、自動車・機械・工場などが作り出しているエネルギーのうち60%超は、廃熱の形で未利用のまま捨てられているといいます。この廃熱を有効利用したいというアイデアは以前からあり、熱を電気に変換する熱電材料についても、数十年前から知られています。

例えば、ガソリンと電気を併用するハイブリッド車であれば、排気口やラジエータからの廃熱を電気に変換し、推進力として再利用することができると考えられます。煙突から排出されている熱を電気に変えることで工場の省エネルギー化を進めることもできますし、もっと小規模な応用としては、体温で駆動する腕時計などもありうるでしょう。

60%超のエネルギーが廃熱として捨てられている。熱電材料を使った廃熱発電でこれを再利用することができる (Graphic courtesy of Oregon State University)

しかし熱電材料は、効率の低さ、製造プロセスが複雑で手間がかかりコスト高であること、有害な材料を必要とする場合もあるなどの理由から、宇宙用途などニッチな分野以外では実用化されていません。

「廃熱発電を実用化するには、低コストで、無害かつ安定性が高く、低い温度の廃熱を効率良く電気に変換できる材料が必要です。材料科学の観点からは、これはガラスであると同時に金属でもあるというようなもので、容易なことではありません。これまで廃熱発電が大規模に商用化されたことがほとんどないのは、こうした理由によるのです」と研究チームの材料科学教授 Mas Subramanian氏は言います。

今回の研究は、「スクッテルド鉱」という熱電材料を作製するために、電子レンジで使われているマイクロ波を用いるというものです。「金属箔を電子レンジに入れると火花が散るのでやってはいけない」ということは、ほとんどの人が知っていますが、粉体の金属では事情が異なります。研究チームは、この基本的現象を、数分間で材料を1800℃まで加熱するためにあえて利用し、良好な結果を得ているのです。

マイクロ波を用いることによって、スクッテルド鉱の作製にかかる時間を、従来の3~4日から、2分程度に短縮できるといいます。スクッテルド鉱は、熱電材料に必要とされるいくつかの特性を備えていますが、これまでその作製は時間がかかり、難しいとされてきました。その作製時間を数日から数分に短縮できるという今回の成果は、研究のスピードを上げるだけではなく、究極的には商用量産を行いやすくするものと言えます。

今回の研究では、マイクロ波技術を用いて、インジウム、コバルト、アンチモナイトの化合物からスクッテルド鉱を作製しましたが、これ以外の化合物からもスクッテルド鉱は作製可能であると考えられています。研究チームは調査を継続しており、最終的には、廃熱発電の用途に合わせて種類の異なる様々な化合物が必要とされるようになるだろうと考えています。


発表資料

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