ベルギーImecが、アクセプター材料としてフラーレンC60を使わない有機太陽電池セルで変換効率8.4%を達成した。2014年3月7日付けの Nature Communications に論文が掲載されている。
フラーレンは電子受容性が安定しており、電子移動度も高いため、今のところ有機太陽電池のアクセプター材料として主流になっている。ただし、フラーレンの光吸収特性が太陽光スペクトルとあまり重なっていないため生成される光電流に限界があること、電子伝導におけるエネルギー準位が深いため開放電圧に限界があることなど、有機太陽電池の高性能化を進める上でいくつかの問題を抱えている。
今回の研究では、フラーレンに代わるアクセプターとして、ホウ素サブフタロシアニンクロリド(SubPc)とホウ素サブナフタロシアニンクロリド(SubNc)という2種の材料を用いた。これにより、高い開放電圧が得られるようになり、可視光域での光吸収特性も向上した。
また、今回の太陽電池では、光吸収スペクトルの異なる3種類の半導体からなる積層型デバイス構造と高効率の励起子捕集メカニズムも開発した。これにより、短絡電流が高まった。波長400~720nmの領域における量子効率は75%以上、開放電圧は1V近くと報告されている。
Imecの発表資料
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