東工大、半導体中を秒速8万mで動きまわる電子を動画撮影

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東京工業大学大学院理工学研究科の福本恵紀産学官連携研究員、恩田健流動研究員、腰原伸也教授らが、半導体中を秒速8万mで流れる電子を直接観察し、動画撮影することに成功した。2014年2月7日付けの Applied Physics Letters に論文が掲載されている。

今回の研究成果の概要 (出所:東京工業大学)

新規レーザーパルス光源と光電子顕微鏡を組み合わせ、電子を20nmおよび200フェムト秒(1フェムト秒は1000兆分の1秒)スケールで可視化できる超高速ストロボ顕微鏡を開発して実現した。

高速動作する半導体デバイス内での電子の流れ(電流)を検出するには、100フェムト秒程度の極短時間幅のパルス電流を生成・注入し、とらえる必要がある。今回の研究では、約100フェムト秒幅のレーザーパルスを半導体に照射して光キャリアを生成した。

この光キャリアを、半導体表面に蒸着した2枚の金属電極間に電圧を印加することで動かした。別のレーザーパルス(検出光)を半導体試料に照射し、励起電子の密度に由来する光電子放出強度を光電子顕微鏡で撮影した。励起光と検出光の時間的タイミングを変化させていくことで(ポンプ‐プローブ法)、電子の移動過程が動画としてストロボ撮影できる。

この方法で、電子の塊が50ピコ秒の間に4μm移動したことを直接顕微鏡で観察した。秒速8万mで運動する電子をストロボ撮影で捉えたことになる。

パソコン、携帯電話や太陽電池などに幅広く利用され、必要不可欠となっている半導体材料だが、その動作性能を左右する電子の動きを可視化する手法はなかった。最近では、ナノサイズの半導体に生じる量子サイズ効果を利用したデバイスの開発が注目されており、その電気伝導特性を視覚的に評価できる装置は今後の半導体デバイス開発に大きな影響を与えると期待される。

図1は、時間分解光電子顕微鏡による電子移動の動画撮影。(a)は測定手法の概略。(b)と(c)は励起光照射後20ピコ秒およびび40ピコ秒後の光電子顕微鏡像。(d)と(e)は、(b)と(c)の中央付近の拡大図。(f)は、(d)と(e)の縦方向の強度プロファイルにより、電子の移動が確認できる。

図2(a)、(b)、(c)は、異なる電極間の電場勾配(電圧値÷電極間隔)において、電子の移動距離を時間に対してプロットしたもの。線形フィットによる傾きから電子の移動速度を算出している。(d)は、電子の移動速度を電場勾配に対してプロットしている。


発表資料

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