三角形のグラフェンナノリボンで熱の整流が可能・・・ パデュー大が理論予測

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パデュー大学の研究チームが、グラフェンナノリボンなどのナノ材料を用いた熱整流デバイスの研究を進めている。エレクトロニクスから繊維製品まで幅広い応用可能性がある。2014年1月6日付けの Nano Letters に論文が掲載されている。

(a)三角形のグラフェンナノリボンで予想される熱整流作用。(b)薄膜、ピラミッド型量子ドット、ナノコーンなど、熱整流作用が見られる様々な非対称ナノ構造材料 (Purdue University image)

研究チームは、三角形またはT 字型構造のナノリボンを使ってフォノンの制御を行うことで、熱の整流(一方向に多くの熱が伝播し、逆方向にはわずかな熱しか伝播しないようにすること)が可能なデバイスを作れると提唱している。

通常、熱はすべての方向に均等に伝播していく。しかし、熱の整流が可能になれば、トランジスタやダイオード、メモリなどで実用化されている電流の整流に似た作用を、熱に対しても行うことができることになる。熱スイッチ、熱トランジスタ、熱論理回路、熱メモリといった熱デバイスの形成が可能になると考えられる。

今回の研究では、分子動力学によるシミュレーションを用いて、非対称グラフェンナノリボン構造における熱の整流作用を実証した。分子動力学シミュレーションでは、原子の振動をシミュレートし、材料中の熱の流れを予測することができる。

シミュレーションによると、熱整流に必要な横方向のフォノン閉じ込めを行うためには、三角形のグラフェンナノリボンの幅を十分小さくする必要がある。材料にもよるが、その横断面の大きさは数nmから数百nm程度になる。これは、フォノンが他のフォノンと衝突する前に移動できる平均的な距離に対応しているという。

熱整流効果を得られる材料はグラフェン以外にもあり、その形状も三角形の他に、ピラミッド型、台形、T 字型などがある。ナノリボン以外にも、ナノワイヤ、薄膜、量子ドットなどの非対称構造でも、熱整流作用が起こることが実証されている。このため、熱整流には幅広い応用可能性があるといえる。

熱整流が起こるメカニズムについては、非対称構造中を原子振動が伝播するときに、横幅が狭くなる方向では振動が制限されるためであるとしている。

熱整流を行うためにはデバイスの構造を微小にしなければならないが、それらを直列につなげることでより大きな構造を形成したり、熱整流の効率を上げることもできるとみられている。電子デバイスだけでなく、衣服や建物などの断熱材としても応用できる可能性がある。


発表資料

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