MIT、100京分の1グラムの分解能を持つ微粒子質量測定器を開発

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マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームが、1アトグラム未満の分解能を持つ質量測定器を開発した。1アトグラムは、100京分の1グラム(1グラムの1兆分の1のさらに100万分の1)という極めてわずかな質量。ナノ粒子や生体細胞の構成要素の質量を精密に測定できるようになる。微粒子の組成や機能の解明に役立つという。2014年1月13日付けの米国科学アカデミー紀要(PNAS)オンライン版に論文が掲載されている。

SNRの仕組み。カンチレバー上に形成されたナノ流路を通過する微粒子1個の質量を1アトグラム未満の分解能で測定できる (Credit: Selim Olcum and Nate Cermak)

浮遊ナノ流路共振器(SNR:suspended nanochannel resonator)と呼ばれるデバイスを使って、ナノ流路内を通過する微粒子の質量測定を行う。流路はカンチレバー上に形成されているため、微粒子の質量によってカンチレバーの振動周波数が微妙に変化する。この周波数変化を検出することで、微粒子の質量を割り出すことができる。

SNRの前身であるSMR(suspended microchannel resonator)は、研究チームの生物工学・機械工学教授 Scott Manalis 氏が2007年に開発した。このときのSMRの分解能は1フェムトグラム(1000兆分の1グラム)で、生体細胞の質量などを測定することができるものだった。その後、デバイスの微細化を進めることで、さらに小さな質量の測定ができるようになった。

今回のSNRの分解能は0.85アトグラムとなっており、一世代前のデバイスから30倍向上している。カンチレバーの寸法は22.5μm長で、そこに幅1μm、深さ400nmの流路を形成した。また、カンチレバーの振動方式を静電励起から圧電励起に変えることで振幅をより大きくし、信号干渉のもととなる不要な振動の影響を抑えた。1秒間に流路を通過する微粒子の数は4~5個で、90分間に3万個程度を測定できる。

デバイス評価のために、DNAに金の微小球体を結合させたナノ粒子の質量を測定し、DNAオリガミの足場にそれぞれ何個の金の球体が結合しているかを調べた。また、生体ナノ粒子であるエキソソーム(タンパク質、RNA、細胞から分泌される各種分子などを運搬する小胞)の測定も行った。

エキソソームは、生体内の離れた場所の間での信号伝達を担うと考えられている。SNRを使った実験から、肝細胞から分泌されたエキソソームと線維芽細胞から分泌されたエキソソームでは、質量分布特性に違いがあることが明らかになった。これは異なる種類の細胞に由来する小胞を区別できることを示唆しており、それらが異なる生体機能を持っている可能性もある。

研究チームでは現在、脳の癌の一種であるグリア芽腫患者の血液中にあるエキソソームをSNRを使って検出することに取り組んでいる。この種の腫瘍は大量のエキソソームを分泌するものであり、その濃度変化を追跡することで、医師が治療中の患者をモニタリングするのに役立つ可能性があるという。


発表資料

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