ソーラーフロンティアは、IBM、東京応化工業と共同で、CZTS太陽電池セル(0.42cm2)でのエネルギー変換効率12.6%を達成した。2012年に同研究チームが達成した11.1%の世界記録を1年で更新したことになる。2013年11月27日付けの Advanced Energy Materials に論文が掲載されている。
CZTS太陽電池は銅、亜鉛、スズ、硫黄、セレンを主成分とし、レアメタルを使用せず入手が容易かつ安価な原材料を用いているのが特徴。コスト競争力に優れ、量産化にも適しているとされる。
論文によると、今回のCZTSセルはヒドラジン溶液を用いる湿式成膜プロセスで作製されており、成分比としては銅が少なめ、亜鉛が多めになるように条件付けされている。二次イオン質量分析の結果から、従来のヒドラジン-スラリー法に比べて、成膜されたCZTS薄膜の炭素濃度および酸素濃度が著しく低いことが分かっている。
粒子を含まない溶液の流動特性によって、スラリープロセスと比べてコーティング均一性および薄膜構造が大幅に改善されたため、太陽電池性能が向上したと考えられる。ヒドラジン溶液法によってCZTS層のバルク品質を改善すると同時に、光吸収層への光子の透過が最大化するようにTCO層とCdS層の膜厚を最適化した。これによって短絡電流密度と開放電圧がともに向上し、セル変換効率12.6%を実現したとしている。
発表資料
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