東大、従来比1000倍となる16000以上の超大規模量子もつれの生成に成功

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東京大学大学院工学系研究科の古澤明教授らが、光での量子もつれ生成を時間的に多重化する新手法により、従来比1000倍超となる16000以上の量子がもつれ合った超大規模量子もつれの生成に成功した。新手法では、装置の規模を拡大することなく超大規模量子もつれを生成できる。量子コンピュータを実現する上で障壁となっていた量子もつれの規模の問題が解消されたことになる。2013年11月17日付けの Nature Photonics に論文が掲載されている。

実験的に実現した量子もつれの量子数の推移 (出所:東京大学)

これまで量子もつれを大規模化する試みについては、イオンを用いた14量子間のもつれの生成が最大だった。2011年には、シドニー大学のニコラス・メニクーチ准教授が、スクイーズド光を用いた量子もつれ生成を時間領域で多重化する新手法を提案し、装置を拡大することなく超大規模量子もつれを生成することが可能であることを明らかにしていたが、実際の装置化には至っていなかった。

上:光を用いた量子コンピュータ回路のイメージ、下:時間領域多重の量子コンピュータ (出所:東京大学)

研究チームは今回、メニクーチ准教授と共同で、時間領域多重化による超大規模量子もつれ生成装置を開発した。時間領域多重化の手法を適用すると、1つのスクイーズド光発生機に複数のスクイーズド光があるとみなすことができ、2台の発生機のみで超大規模量子もつれを生成できる。具体的には、時間的に分割された多数のスクイーズド光を一度干渉させ、光ファイバーで時間をずらし時間的に前後の光を再び干渉させることで、時間的に前後のスクイーズド光がもつれあった状態を生成するという。

超大規模量子もつれのイメージと実際の実験セットアップ (出所:東京大学)

スクイーズド光とは、光子が偶数個ずつペアの状態で飛んでくる特殊な光のこと。光子と光子の間に量子もつれが存在するため、量子もつれの生成に利用される。

時間領域多重化のための損失の非常に少ない光遅延系など、多くの技術開発を行って、装置の構築に成功した。システムの安定性を向上させることで、より超大規模な量子もつれを生成することが可能であるという。また、同装置に改良を加えることで、時間領域多重の量子テレポーテーションを利用した量子コンピュータを実現できるようになるとみられる。時間領域多重化を量子もつれ生成だけでなく、テレポーテーション型量子コンピュータにも用いることで、装置の規模を拡大することなく量子コンピューターの大規模化も可能になる。


発表資料

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