名古屋大と岡山大、レアアース含有量を減らした新しい鉄系高温超伝導体を開発

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名古屋大学と岡山大学が、レアアース含有量を減らした新しい鉄系高温超伝導体を開発した。レアアースを元素比25%含んでいたこれまでの鉄系超伝導体と比べて、レアアース含有量を5%以下に抑えた。安価で高性能な超伝導線材の実用化が期待される。2013年11月6日付けの Journal of the Physical Society of Japan(日本物理学会欧文誌)に論文が掲載されている。

新しい鉄系超伝導体の結晶構造。右は新しいスペーサ層であるヒ素のジグザグ鎖の俯瞰図。ヒ素間の化学結合による電子分布の偏りがカラーマップで示されている (出所:名古屋大学)

名古屋大工学部工学研究科の片山尚幸助教、大成誠一郎助教、澤博教授、岡山大大学院自然科学研究科の工藤一貴准教授、野原実教授らによる研究成果。

鉄系超伝導体は、超伝導を担う鉄ヒ素層と、鉄ヒ素層をつなぐスペーサ層のサンドイッチ構造で構成された結晶構造を持つ。これまでに発見されている鉄系高温超伝導体はスペーサ層に多くのレアアースが使用されていた。今回の研究では、化学結合したヒ素の鎖でレアアースを代替することに成功した。大型放射光施設 SPring-8 で実験を行い、ヒ素の鎖が結晶中でジグザグ形状をしていることを電子分布レベルで解明した。

112系超伝導体の電気抵抗。超伝導転移を示す抵抗率の減少が45Kから始まっている (出所:名古屋大学)

 
今回開発された新しい鉄系超伝導体は、112系と呼ばれる化合物Ca1-xLaxFeAs2で構成されている。鉄系超伝導体でこれまで報告されている超伝導転移温度Tcは、1111系物質SmFeAsO1-xFxにおける55K(-218℃)が最高記録だが、レアアースを25%含むことから線材化した際のコスト高が課題となっていた。

112系のTcはほとんどが34Kだが、試料の一部には45K(-228℃)という高い温度で超伝導化の兆候を示すものもあるという。もともと超伝導層に必要な元素であるヒ素の単純な鎖状態を作ってレアアース含有量を2.5~5%程度に下げており、1111系よりも構成元素数が減少しているため、実用化における材料加工の難易度が下がるという効果も期待できるとしている。


PDF形式の発表資料

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