MIT、ウイルスを利用してリチウム空気電池電極用ナノワイヤを作製

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マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームが、遺伝子操作したウイルスを利用してリチウム空気電池電極用ナノワイヤを作製する技術を開発した。2013年11月13日付けの Nature Communications に論文が掲載されている。

遺伝子操作したM13ウイルスが水中の金属分子を取り込んで構造体を形成する能力を利用して、幅80nm程度のマンガン酸化物ナノワイヤを作製した。通常の化学的手法で成長させたナノワイヤと異なり、ウイルスによって形成されたナノワイヤは表面にスパイク状の突起があり、表面積が大幅に増加するという。このバイオ合成プロセスは、アワビが海中のカルシウムを捕集して貝殻を形成するプロセスに非常に良く似ていると研究リーダーである Angela Belcher 教授は説明している。

ナノワイヤの表面積を増加できることは、リチウム空気電池の充放電レートを向上する上で非常に有利であるといえる。また、エネルギー消費の大きい高温条件や危険な化学薬品を使用する従来法と違って、室温で水を利用したプロセスが使えることもウイルスを利用する方法の利点であるとする。

ウイルスによるバイオ合成法では、単一のナノワイヤではなく、たくさんのワイヤの三次元的な架橋構造が形成されるため、電極の安定性が向上するという効果もある。

合成プロセスの最終部分では、パラジウムなどの微量の金属を添加する。これによってナノワイヤの導電性が大幅に増加すると同時に、充放電反応を促進する触媒作用が与えられる。高純度・高濃度の金属を電極材料に用いて同様の効果を得ようとする研究はこれまでにもあったが、今回のプロセスでは高価な金属の使用量を著しく減らすことができるという。

研究チームは、こうしたナノワイヤを電極材料として用いることによって、現在のリチウムイオン電池に比べて重量あたりのエネルギー密度が2~3倍高い電池が実現できる可能性があるとしている。ただし、実際に実用レベルのリチウム空気電池を作製するためには、電極材料以外にも電解質など他の重要な部材についての研究開発をさらに進める必要がある。ナノワイヤの耐久性についても、これまでのところ確認されているのは50回の充放電サイクルまでであり、実用化する上では数千回のサイクルでの耐久性が必要となる。


MITの発表資料

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