バークレー研究所、グラフェン液体セルとTEMを使ってDNAの3次元動態を動画化

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米ローレンス・バークレー国立研究所の研究グループが、グラフェン液体セルと透過電子顕微鏡(TEM)を使ってDNAの3次元的な動きを動画撮影することに成功した。平面的な乾燥試料の観察に使われる既存のTEMとは異なり、ソフトマテリアルの3次元動態をTEMで捉えた初めての例であるという。生体巨大分子や人工ナノ構造体などの3次元動態についての研究が進むと期待される。2013年8月14日付けの NANO Letters に論文が掲載されている。

TEMに必要な高真空条件下で液体試料を観察する場合、試料の蒸発を防ぐために「セル」と呼ばれる観察窓付きの密閉容器が使われる。従来、液体セルの観察窓の材料には窒化ケイ素または酸化ケイ素が使われていたが、シリコンを用いた観察窓は電子ビームを高強度に透過させるには厚過ぎるため、顕微鏡の分解能を制約する要因となっていた。また、液体やその中に分散した試料の自然な状態が、厚いシリコン観察窓によって乱されることも問題だった。

2012年に研究グループが開発したグラフェン液体セルは、2枚のグラフェン膜をファンデルワールス力で張り合わせたナノスケールの密閉容器。原子1個分の厚さしかないグラフェンによって電子ビームを散乱させずに透過できる。グラフェンには、機械強度が高く、浸透性がないことや、化学的反応性がないといった性質もあり、液体セル内の試料を電子顕微鏡の高エネルギービームから保護するのにも役立つ。

セル内部の高さ100nm、直径1μmの空間に水溶液を安定して溜めることができ、軟質試料に200kVの電子ビームを最大2分間連続照射できる。この間、試料は自由に回転することができる。

今回の研究では、グラフェン液体セルを用いて、金ナノ結晶に結合した二重鎖DNAをTEM観察した。金とDNAのナノ複合体は、動的プラズモンプローブとしてよく利用されているもの。ハイコントラストな金ナノ粒子によって、DNAの動きを追いかけやすくなるという。1本の二重鎖DNAによって繋がった二量体の金ナノ粒子や、2本の二重鎖DNAによって直線的に繋がった三量体の金ナノ粒子などの観察に成功した。試料が回転している間に撮像した2次元画像から3次元形状を再構成し、時間の経過に伴う試料の動きを動画化した。


発表資料

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