2016年、酸化物TFT生産能力が低温ポリシリコンを上回る・・・ディスプレイサーチが予測

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調査会社ディスプレイサーチが、フラットパネルディスプレイ(FPD)用の酸化物薄膜トランジスタ(TFT)に関する市場予測を発表している。2016年には、酸化物TFTの生産能力が低温ポリシリコン(LTPS)を上回ると予測している。

フルHDスマートフォン用パネルなど高解像度FPDが普及するにつれて、TFTには既存のアモルファスシリコンを超える性能が求められるようになってきた。画素密度の増加に伴って、液晶の透過率低下と消費電力の増大がモバイル用液晶の課題となっており、これらの問題への対応としてパネルメーカー各社は高性能のLTPSおよび酸化物TFTの生産増強をすすめている。同じ技術は、液晶だけでなくアクティブマトリクス型有機EL(AMOLED)にも適用できる。

LTPSおよび酸化物TFTバックプレーンの生産能力 (Source: 2013 NPD DisplaySearch TFT LCD Process Roadmap Report)

ディスプレイサーチでは、2013年のLTPS生産能力を900万m2程度と見込んでおり、2016年には1800万m2に拡大すると予測している。また酸化物TFTの生産能力はより急速に拡大し、2013年の350万m2から2016年には1900万m2となり、LTPSを追い抜くと予測している。

非常に高い成長率が見込まれる酸化物TFTだが、それでも以前の予想に比べると量産立ち上がりの時期は2年程度遅れている。また、量産に関わる課題が依然としてあることも懸念事項となっている。酸化物TFTは、高移動度と低リーク電流をLTPSと比べて低コストで実現でき、ガラス基板のサイズを問わず適用できるため、液晶とAMOLEDともに高性能化と低コスト化を進められるという利点があるが、まだ量産レベルでのいくつかの制約を抱えているとディスプレイサーチは報告している。

同社製造調査部門のバイスプレジデント Charles Annis 氏は、「開発レベルでは多くのパネルメーカーが酸化物TFTの製造に成功しているものの、量産レベルでの再現には難航している」と説明する。同氏によると、酸化物TFTを利用したFPDには、TFT設計や誘電材料、パシベーション材料、酸化膜の成膜均一性、熱処理条件など様々な要素の最適化が必要だが、どれか1つの問題を解決することが、しばしば他の要素の性能とトレードオフの関係になっているという。例えば、ほとんどのパネルメーカーが採用しているエッチストッパー型TFTは比較的安定性が高いが、TFTの短チャネル化を進める上では設計上の制約となっており、プロセスも複雑化し、寄生容量の高さによるデバイス性能低下も問題となる。

これまでのところ、こうした問題によって、酸化物TFTベースのFPD量産化は制限されている。現在、酸化物TFT液晶を提供しているパネルメーカーはIGZOを生産するシャープだけであり、酸化物型有機ELテレビの販売を行っているのもLGディスプレイだけである。また、これらトップ企業でも、酸化物製品の生産増加ペースは以前の予想と比べると緩やかになっている。


発表資料

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