ライス大、自然の粘土を利用して200℃の高温動作可能なスーパーキャパシタ作製

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ライス大学の研究チームが、電解質およびセパレータの材料として自然の粘土を用いたスーパーキャパシタを作製し、最高200℃の高温条件での充放電動作が可能であることを実証した。石油採掘や軍事、宇宙航空分野など、過酷な環境下でスーパーキャパシタが使用できるようになると期待される。2013年9月3日付けの Scientific Reports に論文が掲載されている。

(A)今回作製したスーパーキャパシタの構造図。(B)RGO/粘土:RTIL界面のSEM画像。電極と電解質にシームレスな界面が形成されている。(c)様々な温度で加熱処理した粘土電解質の光学画像 (Raquel S. Borges et al., Scientific Reports (2013) doi:10.1038/srep02572)

スーパーキャパシタは、キャパシタと二次電池の中間に位置する蓄電デバイスである。キャパシタは、電気の高速な出し入れが可能だが容量が小さい。二次電池は、大容量の蓄電が可能だが充電に時間がかかる。理想的なスーパーキャパシタは、これらキャパシタと二次電池両方の長所を兼ね備えており、高速で充電した電気エネルギーを必要に応じて出力できるという特徴がある。

スーパーキャパシタの技術的課題としては、高温条件で動作させることが難しいという点がある。電極間のイオン移動を担う電解質が加熱によって分解したり、短絡防止の役割があるセパレータが高温で縮んだりするためである。このため、高温でも信頼性を保って動作するスーパーキャパシタの研究が長年にわたって続いている。

高温での電解質安定性を確保する材料として、常温イオン液体(RTIL:room-temperature ionic liquids)がある。RTILは、低い蒸気圧、不燃性、熱的安定性、低毒性、電気化学的な電位窓の広さといった長所を持っているため、高温動作可能な蓄電デバイス材料として利用できるとみられる。これまでにも、RTILを使用して、最大動作温度100℃のデバイスが実際に作製されている。一方、RTILは粘性が高く、低温下ではイオン伝導度が低下するため、従来型の蓄電デバイスに使用するには問題があるとされる。

また、セパレータに耐熱性を持たせる方法としては、固体電解質やゲル状電解質をセパレータと結合して単一部材とするというアプローチがある。ただし、この方法でも100℃を超える温度で良好なサイクル安定性が得られた例はこれまで報告されていない。

研究チームは今回、RTILと自然の粘土で構成されたセパレータ/電解質複合膜を作製した。同量のRTILと粘土をペースト状に混合し、これを酸化グラフェン還元体(RGO)層および2つの集電体で挟んで、スーパーキャパシタを形成した。その結果、熱的安定性と高いイオン伝導度が実現され、最高温度200℃で良好なサイクル性能を保って安定動作する蓄電デバイスが可能になった。粘土は熱的安定性に優れ、吸着能力が高く、活性表面積が大きく、浸透性も高いため、優れた蓄電デバイス用材料になると考えられる。

材料のイオン伝導度は180℃までの昇温に伴ってほぼ線形に増大し、200℃で飽和した。デバイス試験とその後の電子顕微鏡観察では、200℃加熱後の材料に変化はみられなかった。さらに300℃まで加熱しても変化はほとんどみられなかった。初期状態から若干の容量低下はあったものの、スーパーキャパシタは1万回の充放電サイクルでの安定性が確認された。研究チームは、RTIL/粘土複合材料に少量の熱可塑性ポリウレタンを添加することで、様々な形状・サイズに切り取れるシート状の膜も作製している。これによってフレキシブルなデバイス設計が可能になるという。


発表資料

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