東北大ら、ラット軟組織内での多層CNTの長期間生体持続性を確認

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東北大学大学院環境科学研究科 佐藤義倫准教授が、ラットの軟組織内における多層カーボンナノチューブ(CNT)の長期間生体持続性を評価する研究を行った。北海道大学大学院歯学研究科、日立ハイテクノロジーズ、堀場製作所、産業技術総合研究所、ブルカー・ダルトニクス、ネッチ・ジャパンとの共同研究。2013年8月28日付けの Scientific Reports に論文が掲載されている。

図1 埋入2年後のラット軟組織に存在するt-ox-MWCNTsの概念図 (出所:東北大学)

今回の研究では、2年間にわたって、ラット胸部軟組織に埋入した絡み形状を持つ酸素含有官能基(ヒドロキシル基、カルボキシル基)修飾多層カーボンナノチューブ(tangled oxidized multi-walled carbon nanotubes: t-ox-MWCNTs)の構造を透過型電子顕微鏡、ラマン散乱分光法を用いて評価した。その結果、埋入2年後、マクロファージ内のライソゾームにある一部のt-ox-MWCNTsではナノチューブの構造が分解されているが、細胞間隙(マクロファージ外)にあるt-ox-MWCNTsでは、1週後、2年後とも、埋入前のナノチューブの構造とほぼ変化がなく、マクロファージに貪食されず、ナノチューブの構造が壊れないことが明らかになった。

図2 埋入2年後の組織内のt-ox-MWCNTsの組織画像 (出所:東北大学)

 
この研究結果から、CNT生体材料は軟組織内で良好な生体適合性を持ち、CNTが分解せずに生体材料としての機能を保つことができると考えられる。より軽量で強度のあるCNT生体材料を人工関節材や骨材へ利用できると期待される。これまで、カルボキシル基修飾されている単層CNTや多層CNTがマクロファージや好中球などの貪食細胞中のライソゾーム内で生分解されることが知られていたが、軟組織のマクロファージ内外でのCNTの長期間構造安定性は調べられていなかった。

図1は、埋入2年後のラット軟組織に存在するt-ox-MWCNTsの概念図。(a)は、マクロファージの 2 次ライソゾームに取り囲まれて、ナノチューブ表面が分解されているところ。(b)は、細胞間隙にあるナノチューブを表している。

図2は、埋入2年後の組織内のt-ox-MWCNTsの組織画像。(a)は光学写真、(b)~(d)は高分解能TEM像で、肉芽組織にマクロファージ(MΦ)、多核異物巨細胞、毛細血管が観察され、薄い線維性結合組織が観察されている(a,b)。多くのミトコンドリアや1次ライソゾームが観察されている(c の白矢印)。


東北大学の発表資料

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