MIT、分離膜不要で低コストな水素-臭素フロー電池を開発

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マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームが、繰り返し充放電可能な新型のフロー電池を開発した。充放電動作を担う水素と臭素が自然に分離した「層流」の状態で流れるため、分離用の膜が不要となり、システムの低コスト化が可能になるという。2013年8月16日付けの Nature Communications に論文が掲載されている。

(a)膜なしフロー電池の動作原理、(b)実験前のセル (William A. Braff et al., Nature Communications (2013) doi:10.1038/ncomms3346)

今回作製された手のひらサイズのプロトタイプでは、液体臭素溶液と水素燃料を反応物として用いている。これらの液体が、ほとんど混ざることなく自然に分離した層流の状態となり、2つの電極間に設けられた単一の流路内を流れる。放電中は、下部のグラファイト電極にて液体臭素が還元、上部の多孔質電極にて水素が酸化される。

これまで水素と臭素を利用した燃料電池システムは、臭化水素酸による膜の腐食によって、充放電反応速度が低下したり電池寿命が短くなるといった問題があり難しいとされてきた。今回は、反応物を層流化して流し、膜が不要な電池構成とすることでこれらの問題を回避した。

電池部材の中でも高コストな膜を使用しないで済むことに加え、臭素が地球上に豊富に存在する安価な物質であることから、同システムを大規模化できれば非常に安価な二次電池として太陽光・風力発電向けなどの電力貯蔵設備に利用できる可能性がある。研究チームの概算によれば、膜なしフロー電池によるエネルギーコストは、1kWh当たり100ドルに抑えられる見込みであるという(米国エネルギー省では、電力会社にとって経済的メリットが出るコスト水準を、100ドル/kWhと見積もっている)。

今回のプロトタイプの性能としては、室温・大気圧条件下での最大出力密度 0.795W/cm2 という値が報告されている。これは他の膜なし電池システムの3倍、商用化されているリチウムイオン電池などの蓄電システムと比べても一桁高い出力密度となっている。研究チームは水素-臭素系の化学反応を説明する数学的モデルを構築し、このモデルを実験的に確認することに成功している。今後は同モデルを基に、システムの最適化と大規模化をめざすとしている。

発表資料

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