阪大ら、ダイヤモンドよりも強い原子間結合力を持つ物質を発見

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大阪大学大学院基礎工学研究科の谷垣健一助教、荻博次准教授、草部浩一准教授、住友電気工業の角谷均博士(大阪大学客員教授)らの研究グループが、ダイヤモンドよりも強い原子間結合力を有する物質を発見した。結晶欠陥の一種である「双晶」を大量に導入したナノ双晶多結晶ダイヤモンドを高温・高圧の特殊な条件下で合成し、この物質が通常のダイヤモンドを超えるバネ定数を持つことを確認した。高いバネ定数が要求される超高周波共振デバイスの実現につながる成果。2013年8月12日付けの Nature Communications に論文が掲載されている。

(a)双晶構造の走査顕微鏡画像(スケールバー:200nm)、(b)透過顕微鏡画像(スケールバー:50nm)、(c)回折パターン (Kenichi Tanigaki et al., Nature Communications (2013) doi:10.1038/ncomms3343)

双晶は、結晶欠陥の一種だが、転位や亀裂、空隙などの欠陥とは異なり、大きく原子配列が乱れている訳ではない。結晶性物質内の特定の面に対して原子配置が対称な関係にあるとき、その面の両側の原子配列部分が双晶と呼ばれる。通常の物質では、欠陥が導入されると平均的な結合力が低下するために、バネ定数は小さくなるはずだが、研究グループは、ナノ双晶多結晶ダイヤモンドの双晶欠陥部分のバネ定数が逆に非常に大きくなることを理論的に明らかにした。

一般に、同じ重さで同じサイズの物質が鳴り響くとき、より高い音で鳴り響けばより強いバネから構成されていることが分かる。しかし、ナノ双晶多結晶ダイヤモンドは数mm角と小さく硬いため、正確に形状を整えることが難しく、従来の手法ではバネ定数を測定することができなかった。

赤色レーザーによりダイヤモンドの一部分を鳴り響かせ、青色レーザーによりその音色を聞き取る技術のイメージ図 (出所:大阪大学)

 
研究グループは今回、レーザー光を用いて直径50μm、奥行き5μm程度の領域だけを鳴り響かせ、その音色を別のレーザー光で正確に聞き取る技術を開発した。これにより、不定形なナノ双晶多結晶ダイヤモンドの一部だけを鳴り響かせ、正確にバネ定数を測定することができるようになった。鳴り響かせる音の波長は90nmであり、可視光の波長(数百nm)よりかなり短い波長となっている。測定の結果、通常のダイヤモンドのバネ定数を確実に超える値が観測された。

ダイヤモンドはこれまで知られている物質の中で最も高いバネ定数を持っている。このため、極めて高い融点、熱伝導率、硬度といった材料特性が得られる。ダイヤモンドを超えるバネ定数をもつ物質の探求が世界中で長い間続いてきたが、実験的に実現した例はこれまでなかった。

今回の成果は、ダイヤモンドのバネ定数が特殊な欠陥により強化されることを立証したとも言える。ダイヤモンドには、双晶以外にも原子配列を大きく乱さない欠陥構造が存在し得るため、さらに大きくバネ定数を向上させる欠陥構造の探索という新しい研究分野の起点になると見られる。高いバネ定数が要求される超高周波共振デバイスの実現につながるため、携帯電話などの通信周波数の高周波化、高速化などにも役立つと考えられる。


発表資料

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