名古屋大ら、CNTだけで構成した全カーボン集積回路を実現。透明で任意の立体形状に熱成型可能

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名古屋大学の大野雄高准教授らとフィンランド・アールト大学の研究チームが、カーボンナノチューブ(CNT)のみでトランジスタや配線を構成した全カーボン集積回路を世界で初めて実現した。電子移動度は 1000cm2/Vs 超となっており、透明でフレキシブル性がある。任意の立体形状に熱成型することもできる。デザイン性と機能性を併せ持つプラスチックデバイスへの応用が期待される。2013年8月6日付けの Nature Communications に論文が掲載されている。

(a)今回作製された全カーボン集積回路、(b)リング発振器、(c)排他的論理環 (出所:名古屋大学)

近年、有機材料やCNTを半導体層に用いたフレキシブルデバイスの研究が盛んに行われているが、より柔軟で伸縮可能な電子デバイスを実現するには、半導体層だけでなく、電極・配線材料や絶縁材料にも伸縮性を持たせる必要がある。今回の研究では、伸縮性のない金属膜や酸化膜などの無機材料に替わって、電極や配線をCNT薄膜で形成し、絶縁材料についてもアクリル樹脂を用いることにより、透明で柔軟な全カーボン集積回路を実現した。作製された集積回路にはリング発振器や各種論理ゲート、メモリ(SRAM)が含まれている。ゲート絶縁膜には680nmという厚いアクリル樹脂を用いているが、ナノ構造への電界集中効果を利用することで、5Vという比較的低電圧でのデバイス動作を実現している。

(a)全カーボン集積回路の熱成型工程、(b)ドーム状に成型された全カーボン集積回路、(c)成型によるCNT-TFTの構造変化。2軸に12%伸張している (出所:名古屋大学)

 
CNT薄膜の成膜技術を最適化することにより、CNT薄膜トランジスタで移動度 1027cm2/Vs を実現した。この値は、単結晶シリコンを用いたMOSFETよりも高く、プラスチック基板上の薄膜トランジスタとしては極めて高い。従来プラスチック上で作製される薄膜トランジスタの移動度は 0.01~50cm2/Vs 程度だった。

作製された全カーボン集積回路の高い柔軟性と伸張性を実証するため、ドーム状に熱成型した状態でのデバイス動作を確認した。ドーム状に成型した場合、トランジスタや配線は2方向に伸張されるが、CNT薄膜に亀裂や剥離などの問題は生じなかったという。トランジスタは、2軸方向に18%伸張された場合でも正常動作した。集積回路全体についても、7.2%伸張まで正常動作を確認できた。


PDF形式の発表資料

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