モナシュ大、従来比12倍の高エネルギー密度グラフェンスーパーキャパシタを開発

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モナシュ大学の材料工学教授 Dan Li 氏らの研究グループが、グラフェンを用いた高容量スーパーキャパシタを開発した。エネルギー密度は鉛蓄電池に匹敵する 60Wh/L で、既存の商用スーパーキャパシタの12倍程度に達している。再生可能エネルギー向けの蓄電設備、携帯用電子機器、電気自動車など幅広い用途での利用が期待される。2013年8月2日付けの Science に論文が掲載されている。

電解液に浸した酸化グラフェン還元体の特性評価 (Xiaowei Yang et al., Science (2013) doi:10.1126/science.1239089)

一般的に、スーパーキャパシタでは、電解液に浸した多孔性カーボンを電極材として用いる。長寿命で急速充放電可能といった特徴があるが、エネルギー密度は 5~8Wh/L と低い。今回の研究では、従来の多孔性カーボンの代わりにグラフェン電極を用いたスーパーキャパシタを作製し、従来比12倍という高エネルギー密度を実現した。

同チームの以前の研究成果であるゲル状グラフェン膜を利用した。この技術は、グラフェンを湿ったゲル状に保つことにより、膜の間に反発力を与えてグラフェン膜同士の再結合を防ぐというもの。グラフェンをバルク積層した際に、膜同士が再結合してグラファイトの状態に戻り、グラフェン特有の性質が失われる問題を解消できるという(関連記事)。

今回のスーパーキャパシタでは、電解液が2つの役割を担っている。1つは、通常のスーパーキャパシタと同様の導体としての役割だが、これに加えて、グラフェン膜間の距離をサブナノ単位で制御するためにも電解液が利用されている。通常の多孔性カーボンでは、不必要に大きな空孔が生じることでエネルギー密度が下がるが、今回の研究ではグラフェン膜間の距離を制御することにより、空孔率を犠牲にせずにエネルギー密度を最大化することができるとしている。

写真(A)は、今回作製された膜のフレキシブル性を示している。(B)および(C)は、電解液(硫酸)に浸した酸化グラフェン還元体の電子顕微鏡画像。密度は(B)が 0.42g/cm3、(C)が 1.33g/cm3 となっている。(D)は、電解液の容積率と酸化グラフェン還元体の密度および膜間距離の相関をグラフ化したもの。ゲル状グラフェン膜の製法は、伝統的な製紙プロセスに似ている。このため、工業用途での規模拡大が容易かつ低コストで行えるとみられている。


発表資料

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