北大とNIMS、金属-空気二次電池のための高性能可逆酸化物電極触媒の開発に成功

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北海道大学触媒化学研究センターの竹口竜弥准教授が、金属-空気二次電池の空気極触媒として、充放電にほとんどエネルギーロスを生じない高い触媒活性を示す層状ペロブスカイト酸化物電極触媒を開発した。また、物質・材料研究機構(NIMS)の魚崎浩平フェロー(国際ナノアーキテクトニクス拠点)らと共同で、可逆触媒機能実現の機構と、その理由を明らかにした。同触媒を金属-空気二次電池の開発へ適用することにより、充放電時のエネルギーロスの少ない電気自動車向け次世代二次電池の実現が加速されるとする。変動の激しい風力や太陽光発電などで得られる再生可能エネルギーの平準化も可能となることから、エネルギーの安定供給も可能になると見られる。2013年6月23日付けの米国化学会誌(Journal of the American Chemical Society)に論文が掲載されている。

図1 金属・空気電池の構成および今回開発された空気極触媒 (出所:北海道大学/NIMS)

従来技術による金属-空気電池では、空気極の充放電の反応速度が遅く、充放電時に大きなエネルギーロスが生じている。今回の研究では、層状ペロブスカイト酸化物 LaSr3Fe3O10(図1)を開発し、空気極触媒として用いた。充放電反応の性能を従来の触媒A、触媒Bと比較すると、明らかに他の触媒系とは異なり、充放電時にエネルギーロスがほとんどない有望な触媒であることが分かった(図2)。このような高活性な可逆空気極の報告例はこれまで国内外にないという。また、十分に電気伝導性があるため、カーボンを用いないディスク型の電極を作製できるという特徴もある。カーボン燃焼の問題を回避できるため、安全で高性能かつ耐久性が高い二次電池の実用化が期待される。

図2 触媒性能の比較:金属-空気電池の空気極の充放電特性 (出所:北海道大学/NIMS)

 
同触媒の高い活性が発現するメカニズムを明らかにするため、大型放射光施設 SPring-8 にて、X線吸収微細構造分光法(XAFS)による測定で触媒の還元のしやすさを調べた。その結果、開発した層状ペロブスカイト酸化物は、同じような組成の単純ペロブスカイトよりも還元しやすいことが明らかになった。層状ペロブスカイト酸化物内に酸素が存在し、その酸素が容易に出入りできるため、次の充電・放電反応を促進していることが分かる。

充電反応 2H2O + O2 + 4e → 4OH 平衡電位 1.2 V
放電反応 4OH → 2H2O + O2 + 4e 平衡電位 1.2 V

なお、同触媒は酸化物であり、貴金属を使う必要がない。低コスト化と貴金属資源の保全にも貢献するといえる。

電気自動車用の蓄電池として有望視されている金属-空気電池の理論エネルギー密度は、現在実用化されているリチウムイオン電池の200Wh/kgをはるかに凌ぐ。リチウム空気電池では11140Wh/kg、アルミニウム空気電池では8100 Wh/kgであり、ほぼガソリンのエネルギー密度に匹敵する。金属-空気電池の二次電池化が実現すれば、ガソリン車並みの航続距離を持つ電気自動車が可能になる。


NIMSの発表資料

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