Imecとホルストセンターが、有機半導体だけから作られた大面積イメージセンサをフレキシブル基板上に形成する技術を開発した。2013年6月12~16日に米国スノーバードで開催される国際イメージセンサ・ワークショップ(IISW 2013)で詳細を発表する。
有機半導体は光吸収係数が非常に高いため、活性層の厚さを10~50nm程度と極薄にできるという特徴がある。また、プロセス温度が低いことから、金属箔上に形成することもできる。この結果、有機イメージセンサは従来のイメージセンサと比べて、より高耐久かつ軽量化可能となり、ランダムな形状の基板上にも共形コーティングできると考えられている。さらに、利用できる有機分子の種類が豊富であることから、様々な波長範囲での応用に対して活性層の特性を調整することもできるという。
今回発表されたイメージセンサは、波長500~600nmの範囲で光感受性を持っており、一般的なシンチレータとの適合性がある。このため、X線撮像などの分野での応用に適していると見られている。デバイスは、微小な有機分子(SubPc/C60)で構成されたサブミクロンオーダーの極薄感光層を読み出し用の有機回路上に加熱蒸着して形成した。上部接点が半透明となっているため、前面照射で動作する。読み出し用バックプレーンは金属箔でラミネートした6インチウェハー上に作製する。1mmおよび200μmピッチ、32×32ピクセルで配列したペンタセン系薄膜トランジスタでバックプレーンを構成している。有機半導体の空気中での劣化を防ぐため、イメージセンサアレイはカプセル封入される。補正された緑色LED光を照射してイメージセンサの特性評価を行った結果、入射電力 3μW/cm2 から光電流が線形的に増加した。暗電流密度はバイアス電圧-2Vのとき 10-6A/cm2 だった。
発表資料
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