ライス大とホンダ、放熱性に優れたダイヤモンド薄膜/グラフェン/CNT複合体を作製

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本田技研工業の米国連結子会社 Honda Research Institute USA とライス大学の共同研究チームが、ダイヤモンド薄膜/グラフェン/カーボンナノチューブ(CNT)の複合構造体を作製した。熱特性に優れており、放熱材料としての応用が期待される。2013年5月28日付けの Scientific Reports に論文が掲載されている。

ダイヤモンド、グラフェン、CNTという3つの炭素同素体を一体化することで優れた放熱特性が実現される (Credit: Rice University)

ダイヤモンドは熱伝導性が銅の5倍と非常に高いが、利用できる表面積が小さい。ダイヤモンド上にCNTを垂直配向すれば、微小な電子デバイス用の高性能ヒートシンクとして使えるが、これまでダイヤモンド表面はCNT成長基板には適していないと考えられていた。

研究チームは今回、グラフェンを中間媒介層として用いることで、ダイヤモンド薄膜表面上にCNTを成長できることを示した。ホンダのチームでは、標準的なCVDによって銅箔上に成膜した様々なタイプのグラフェンを、ダイヤモンド、石英、金属基板に転写。ライス大チームが、これらのサンプルを詳細に調べた。

その結果、CNTが良好に成長できるのは単層グラフェンの場合だけであり、表面に波紋(ripple)やしわ(wrinkle)が存在する場合が最も良いことが明らかになった。これらの欠陥があることで、空中を浮遊する鉄系触媒粒子が表面に捕捉され、触媒粒子を出発点としたCNT成長が起こるとみられる。グラフェン中間層は、触媒粒子の凝集を防ぐ働きをすることで、CNT成長を促進していると考えられる。

ライス大チームは、以前の研究において、グラフェンで被覆した材料を濡らした場合にグラフェンが抗酸化保護膜として働くことを見出している。研究チームの材料科学者 Pulickel Ajayan 氏は、極めて薄いグラフェンを被覆膜として用いることで、もとの材料の特性を損なわずに付加価値を付与できることが、グラフェンの大きな利点であると指摘する。このことは、グラフェンを用いることで触媒活性を損なわずに触媒粒子の凝集を防ぐことができることを示した今回の研究成果にもあてはまるとする。

テストの結果から、配向したCNTとダイヤモンドなどの基板材料に挟まれた状態でもグラフェン層は損傷せずに保たれることが分かっている。銅などの金属基板上では、ハイブリッド体全体が高い導電性を示す。グラフェン界面による材料のシームレスな一体化技術を用いれば、電気化学セルにおける活物質と集電体の間の接触抵抗を低くすることができるため、高出力のエネルギーデバイス開発などにもつながると考えられる。


発表資料

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