カンザス州立大、グラフェン量子ドットを用いた湿度・気圧センサを開発

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カンザス州立大学の研究チームが、グラフェン量子ドットを用いた湿度・気圧センサを開発した。2013年3月18日付けの Nano Letters論文が掲載されている。

グラフェン量子ドットと電子の量子トンネル効果を利用したセンサデバイス (Credit: Kansas State University)

研究チームは、「ナノトミー」と呼ばれるナノスケールの切断技術でグラファイトを切り取ってグラフェンナノリボンとし、このリボンを切断して横寸法100nm程度のグラフェン量子ドットを作製。次に、グラフェン量子ドットを含水性のマイクロファイバー(2~20μm径)に組み込み、マイクロファイバーの両端を電極に付着させた。グラフェン量子ドットは1nm未満の距離を置いて配置し、量子ドット同士が完全に接触しないようにした。

マイクロファイバーに電圧を印加し、局所的に湿度調整を行って量子ドット間の距離を制御すると、量子ドット間を流れる電流の値が変化した。デバイスの周囲の湿度が下がると、ファイバーに含まれる水分が失われることでファイバーが収縮し、量子ドット間の距離が縮まる。これにより量子ドット間を移動する電子が増加する。電流値を読み取ることで、環境中の湿度を測ることができる。グラフェン量子ドット間の距離が0.35nmまで近づくと、デバイスの導電性は43倍に増大した。空気中に含まれる水分が減るため、気圧を減圧させることでもグラフェン量子ドット間の距離が縮まり、導電性が増加する。

量子力学的効果により、電子はある有限の確率で、一方の電極から接続されていないもう一方の電極へとトンネルする。この確率は、トンネルする距離または電極間のギャップの逆数に比例する。

通常の湿度センサと異なり、グラフェン量子ドットを用いた湿度センサは真空中で応答性が良くなるという特徴がある。このため、例えば低レベルの湿度測定が要求されるスペースシャトルの船内に搭載するセンサとしての応用などが考えられる。地球の1/100の気圧しかない火星における微量の水分検出にも使用できる可能性がある。また、同デバイスは、高分子マイクロファイバーの収縮を利用しているため、湿度以外の刺激に応答するような別種の高分子に置き換えることで、湿度センサ以外の用途でのセンシングにも利用できるようになるとしている。


発表資料

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