GE、MRI用超伝導磁石を風力発電タービンに応用

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GEが、MRI用の超伝導磁石を風力発電タービンに応用する研究開発を開始したとのこと。これにより、10~15MWクラスの大型風力発電の高効率化と低コスト化をめざすとしています。
現在ほとんどの風力発電タービンでは、ブレードと発電機をギアボックスで接続する機構が採用されています。ギアボックスは、低速回転するブレードの動きを、低トルクの高速回転に変換するものです。この方式で稼働している風力発電タービンは非常に高効率ですが、規模が大きくなるにつれて重量が増え、必要なメンテナンスも多くなるためコスト高になるという問題があります。

GEは30年以上の経験を持つMRI用超伝導磁石を風力発電タービンに応用。大出力で軽量なタービンを開発し、風力発電のコスト競争力強化を図る (Credit: GE)

そこで、超伝導技術を応用することによって、発電機の性能をより向上させ、ギアボックスを使わないより経済的な風力発電が可能になる、とGEグローバル・リサーチの風力技術リーダー Keith Longtin氏は説明します。重要なポイントは、発電機のサイズと重量を削減し、発電を大トルクの低速回転で行うようにすることです。超伝導技術を用いることによって、超伝導界磁巻線が生みだす強力な磁場という利点から発電機重量を減らすことが可能です。また、超伝導発電機で使用される重たい鉄も削減可能であるといいます。

「MRI装置では、より低コストで高品質な画像を得るために超伝導磁石が用いられます。風力発電タービンでは、より低コストで発電するためにこれを使います。用途は異なりますが、基本的な技術は同じです」とLongtin氏。

超伝導磁石は10~15MWクラスの大型風力発電タービンに適用されるという (Credit: GE)

GEが設計する超伝導磁石は、新たなアーキテクチャと実績ある極低温冷却技術を採用することで、装置全体の信頼性を向上させるといいます。同社が提案する超伝導装置は、競合技術と比較して、2倍のトルク密度をめざしており、加えて、現在の風力発電機用の永久磁石で広く使用されているレアアース材料への依存度の軽減もめざすとします。これにより、より大出力での発電と変換効率の向上を組み合わせて、規模による経済性(例えば、発電所での所与の出力当りの風車の数の削減など)を享受することができるようになり、風力発電タービンのエネルギー生産コストの低減が促されると考えられます。

GEでは超伝導磁石の応用以外にも、風力発電の経済的な規模拡大のための様々な技術開発を行っています。主要な取り組みとして、次のようなものがあります。

  • 風車のブレードを軽量化する先端複合材料の開発
  • 先進的な制御、センサ、条件監視アルゴリズムの開発によるオペレーションコストの劇的削減
  • 系統電力網により多くの風力発電をシームレスに統合するためのグリッド・インテグレーション技術の開発

  • 超伝導風力発電タービンのプロジェクトには、2つのフェーズがあるといいます。第1フェーズは概念設計および経済性、環境性、商用性などの観点からの評価を行う段階。第2フェーズでは、商業的実用化の可能性についての調査が行われることになります。なお、GEのパートナーとして、米オークリッジ国立研究所も同プロジェクトに参加。第1フェーズでは、米国エネルギー省が2年間300万ドルの研究助成を行うとのことです。


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    「GE、MRI用超伝導磁石を風力発電タービンに応用」への3件のフィードバック

    1. それにしても日立金属さんのSLD-MAGIC(S-MAGIC)という高性能工具鋼のトライボロジー特性はいろんなところで評判だ。自己潤滑性がなんとPV値900MPam/minまでのあいだ続くとは驚異的インパクトがある。高性能な風力発電のベアリングとして有望だと思う。

    2. 今や時代は低粘度オイルの時代ですから、境界潤滑状態がふえるし、極圧添加剤もSOxの環境問題で入れられないとなると高PV値材料の重要性はますます増えるでしょうね。

    3.  やはりいつも感心するのは日立金属さんから常に時代の曲がり角で鉄鋼材料の提案があることだ。どうしてこんなにも開発力があるのかわからないが、憧れる。

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