「1000兆分の1グラムの精度で生細胞の質量はかれる」 イリノイ大が細胞イメージングの新技術開発

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イリノイ大学の研究チームが、2本の光線を使って細胞の質量を測定する空間光干渉顕微鏡法(SLIM: spatial light interference microscopy)という新手法を開発したとのこと。この技術によって、「細胞の成長は一定速度で進むのか、それとも急激に成長するのか」といった議論の多い問題についての新しい知見が得られるといいます。

SLIM(空間光干渉顕微鏡法)による細胞のイメージング ( Photo by Quantitative Light Imaging Laboratory )

SLIMは、フェムトグラム精度という極めて高い感度で質量の定量的測定を行う技術です(フェムト=1000兆分の1 ※ちなみに1ミクロンサイズの水滴の重さは1000フェムトグラム)。細胞1個の成長量を測定することができ、細胞内部での質量の移動までも測定可能。また、適用範囲が非常に広い技術であるとしています。

「SLIMの大きな特徴は、どんな種類の細胞でも測定できることです。バクテリアから、哺乳類細胞、接着細胞、非接着細胞、単細胞、集団細胞まで、何でも測れます」と研究チームの Mustafa Mir氏は言います。「そして、どの場合でも、測定感度や取得できる定量情報は維持することができるんです」

また、位相差顕微鏡法とホログラフィ技術の結合であるSLIMでは、ほとんどの細胞イメージング技術で必要とされる染色その他の特殊な前処理が不要になります。このため、生体をまったく傷つけずに細胞の自然な機能の研究を可能にする技術であるといえます。測定には白色光を使用しており、蛍光顕微鏡など従来からある他の技術と組み合わせることも可能です。「SLIMは、市販の顕微鏡の拡張モジュールとして使用することができます」とMir氏。

SLIMの検出感度の高さによって、研究チームは細胞周期における様々なフェーズを通して細胞の成長を観察することに成功しました。その結果、哺乳類の細胞では、細胞周期の中でDNAが複製されてから細胞分裂が始まるまでのG2期にだけ細胞成長が急激に進むということが判明。この知見は、基礎生物学だけでなく、診断、新薬開発、再生医療にも重要な示唆を与えるものです。

研究チームは、細胞の成長に関する新しい知識を様々な疾病モデルに適用しようとしています。例えば、正常な細胞とガン細胞の成長の違いをSLIMを使って測定し、成長速度の観点から治療効果を調べるといったことが計画されています。

研究リーダーで電気工学、コンピュータ工学、物理学、バイオ工学教授の Gabriel Popescu氏は、「SLIMは、ライフサイエンスとマテリアルサイエンスの両分野で幅広く応用することができます。干渉法で得られる情報を、シリコンウェハーなど半導体材料のトポグラフィに変換することも可能です。私たちはSLIMというハードウェアを持っており、同時に様々な特殊な問題に対応するためのいろいろなアプリケーションもあります。いわば、iPadみたいなものですね」と話しています。


発表資料

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