「1秒で充電できるクレジットカード大の携帯電話も可能」大容量・高出力の新型マイクロ電池、イリノイ大が開発

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イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の研究チームが、新構造の高性能リチウムイオンマイクロ電池を開発した。スーパーキャパシタと同等以上の高出力を実現でき、無線通信分野への新規応用や電子デバイス小型化などが可能になるとしている。2013年4月16日付けの Nature Communications に論文が掲載されている。

図1 三次元のマイクロ電極間をリチウムイオンが移動するイメージ (Credit: Beckman Institute for Advanced Science and Technology)

論文によると、今回開発されたリチウムイオンマイクロ電池の出力密度は最大7.4mW cm-2 μm-1 であり、最高性能のスーパーキャパシタと同等以上の高出力となっている。既存のマイクロ電池と比較すると、2000倍程度の高出力であるといえる。

このように電池を高出力化することで、無線信号の届く距離を30倍に延ばしたり、デバイスを1/30に小型化したりできると考えられる。充電時間も1000倍高速化できるので、1秒足らずで充電できるクレジットカードサイズの携帯電話などが実現する可能性がある。

リチウムイオン電池は高容量を実現できるが(高エネルギー密度)、一度に大量のエネルギーを出し入れできないため(低出力密度)、充電に時間がかかるという弱点がある。研究チームは今回、マイクロ電池内部の微細な三次元構造を最適化することにより、通常トレードオフの関係にあると考えられているエネルギー密度と出力密度を同時に高めることに成功したという。

図2 マイクロリチウムイオン電池の構造と電極形成プロセス (James H. Pikul et al., Nature Communications (2013) doi:10.1038/ncomms2747)

 
マイクロ電池のセル構造を図2に示す。電極は、多孔質金属(ニッケル)の足場上に正極材および負極材をそれぞれ均一に被覆して同一基板上に形成する。正極材にはリチウム化した酸化マンガン(LMO)、負極材にはニッケルスズの単層薄膜を用いている。このマイクロ構造によって、電極活物質と電解質中における電子およびイオンの移動距離が短くなり、出力密度が上がる。同時に、活物質の体積を大きく保つことで、エネルギー密度を高めることができる。活物質の厚さは17~90nm、多孔質金属足場の孔の口径は330nmまたは500nmとした。正極と負極は幅30μmサイズとし、10μm間隔で交互にかみ合わせた形状とした。セル全体の体積は0.03mm3程度となっている。


発表資料

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