「リチウムイオン電池にもメモリー効果あった」 豊田中央研究所らが発見

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豊田中央研究所とスイス Paul Scherrer Institut (PSI)が、リチウムイオン電池にも「メモリー効果」があることを世界で初めて発見した。ニッカド電池やニッケル水素電池では、浅い深度での充放電を繰り返すとそれに続く放電時に電圧が途中で降下し、実用容量が減少するメモリー効果があることが知られている。一方、リチウムイオン電池では、このような現象は発生しないと信じられていた。2013年4月14日付けの Nature Materials に論文が掲載されている。

リチウムイオン電池用正極材LiFePO4における充電深度(SOC)50%でのメモリー効果 (出所:豊田中央研究所)

今回の研究では、市販されているリチウムイオン電池の正極材として用いられているリン酸鉄リチウム(LiFePO4)において明らかなメモリー効果を確認したとしている。図中の矢印部分に見えている「こぶ」が、充電深度(SOC: State of Charge)50%におけるメモリー効果による電圧変化であるという。こぶは、部分充放電(図中青線)後の充電時(赤線)に観測され、前の部分充放電のSOCを通過するときに、あたかもそのSOCを記憶しているかのように発生する。

研究チームは、この現象を電気化学的手法により詳細に解析した結果、Particle-by-Particle モデルと呼ばれる考え方を基に、LiFePO4におけるメモリー効果発現を矛盾なく説明できるメカニズムを見出した。メモリー効果を引き起こす原因は充放電に伴うLiFePO4の化学ポテンシャル変化の形状にあり、同様の形状を有する材料は、メモリー効果を発現する可能性があることが示唆された。

今回発見されたメモリー効果による電圧変化はニッカド電池やニッケル水素電池のメモリー効果に比べると遥かに小さいが、リチウムイオン電池のSOCを推定する上で外乱因子となる可能性がある。この現象を正しく理解し、予測できれば、SOC推定をより正確に行えるようになり、リチウムイオン電池の効率的かつ安全な利用に役立つと考えられる。


豊田中央研究所の発表資料

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