PNNL、太陽熱と天然ガス火力発電を融合。燃料使用量20%削減

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米パシフィック・ノースウェスト国立研究所(PNNL)が、太陽エネルギーを利用して天然ガス火力発電における燃料使用量を削減するシステムを開発している。燃料を20%程度削減でき、温室効果ガスの排出量も低減されるという。

天然ガス火力発電向けの太陽熱集熱システム (Credit: PNNL)

このシステムでは、太陽熱を利用して、天然ガスを syngas と呼ばれるハイブリッド燃料に変換する。syngas は水素と一酸化炭素を含有しており、エネルギー量が高いため、天然ガス使用量を20%削減しても従来と同等の発電量が得られる。

米国エネルギー省(DOE)エネルギー情報局の概算では、2020年までに米国の発電量の27%を天然ガス火力が担うと見られている。今回PNNLが開発したシステムは、米国南西部のような日照量の豊富な地域に位置する発電所に最適であるという。

パラボラ型の反射鏡を用いて太陽熱を一点に集中させ、PNNLが開発した装置で吸熱して syngas の合成を行う。長さ4フィート×幅2フィートの同装置は、1個の化学反応器と数個の熱交換器で構成されている。反応器には10セント硬貨6枚重ねた程度の狭いチャネルがある。チャネル内を流れる天然ガスは集熱した太陽熱で加熱され、チャネルが保持する触媒の作用を受けて syngas に変換される。

集熱用反射鏡の前面に取り付けられるガス変換装置 (Credit: PNNL)

 
熱交換器には、さらに細いチャネルが設けられている。このチャネルは化学反応ガスから残った熱の再利用を促し、太陽熱の利用効率を上げる働きがある。初期の試作装置では、反射鏡に当たった太陽エネルギーの60%超が syngas に含有される化学エネルギーに変換されることが示されたという。

PNNLは現在、効率向上と製造コスト低減をめざして試作装置の改良を行っている。2020年までに同システムを付帯した天然ガス火力発電所での発電コストを1kWh当たり6ドル以下に抑え、既存の火力発電所にコスト的に競合できるようにすることが目標であるという。

同システムは、様々な規模の天然ガス火力発電所に適用できる。ガス変換装置の個数は発電所の大きさに依存する。例えば、出力500MWの発電所であれば、ガス変換装置を備えた集熱用反射鏡がおよそ3000枚必要になる。

日没後や曇天時には、変換装置をバイパスして天然ガスを直接燃焼させる。このため、他の太陽エネルギー利用法と異なり、日照がないときでも発電が途絶えないという利点がある。ディーゼル燃料やガソリンの原料となる合成原油を作るために syngas を利用することもできるので、将来的には輸送用燃料分野でも同技術を応用できる可能性もある。PNNLでは今夏、ワシントン州リッチランドで同システムのフィールド試験を実施する予定。


PNNLの発表資料

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