紙のように折り畳める導電性セラミックを開発、二次電池・ガスセンサ・人工筋肉などに応用 ・・・ ドイツ

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マックス・プランク研究所とシュトゥットガルト大学の研究チームが、紙のように折り畳んだり丸めたりできるフレキシブルなセラミック材料を開発した。導電性のある五酸化バナジウム・ナノファイバーでできており、真珠に似た層構造を持っている。二次電池、ガスセンサ、人工筋肉用アクチュエータなどへの応用が考えられる。2013年3月7日付けの Advanced Materials に論文が掲載されている。

層構造を持つセラミックペーパーのSEM像。右図のように曲げることが可能 (Credit: Advanced Materials/Stuttgart University)

軟体動物の殻では、硬いが脆い霰石のプレートレットを煉瓦のように積層し、モルタルの役目をするタンパク質を使って貼り合わせることで、硬度と弾力性を併せ持つ真珠層が形成される。研究チームは今回、この自然の複合材をモデルとすることで、硬いが脆い五酸化バナジウムを使って弾力性と導電性を有するセラミックペーパーを作製した。

セラミックペーパーのAFM像。規則的な平行パターンが周期的に表れている (Credit: Advanced Materials/Stuttgart University)

 
作製方法は、まず最初に、水溶性のバナジウム塩を用いて五酸化バナジウムのナノファイバーを合成する。このナノファイバーには、セラミックでありながら導電性を持つという特徴がある。次に、水に分散させたナノファイバーを基板上に極薄く延ばした後、水分を含んだフィルムを室温で数時間乾燥させ、さらに数時間40℃の人工気候室内でゆっくりと湿度を下げる。この緩慢なプロセスによってナノファイバーが自己組織化し、精密な平行パターンが形成される。最後に、100℃および150℃でフィルムを熱処理することで、透明なオレンジ色の紙が出来上がる。紙の厚さは、ナノファイバー溶液の量を変えることによって、0.5~2.5μmの範囲で調整できる。

セラミックペーパーは折り畳んだり丸めたりできる。また導電性もあるが、その導電率は、ファイバーに対して平行なほうが横断方向よりも大きいという性質がある。ファイバーの方向に依存して導電率が変化する性質は、セラミックペーパーの機械特性と同様に、その材料構造によって説明できる。

セラミックペーパーにおけるレンガ壁のような構造の形成プロセス (Credit: Advanced Materials/Stuttgart University)

 
ナノファイバーは、2層の五酸化バナジウムとその中間の水の層で構成される。このファイバーが複数集まって横方向に重なって平板(スラブ)を形成する。スラブは、さらに横方向に互い違いに積層していき、煉瓦の壁のような断面を持つようになる。水の層は、煉瓦の壁におけるモルタルのようにスラブを取り囲む。この硬いセラミックと軟らかい水の組み合わせが、セラミックペーパーに硬度と強度、柔軟性を与えることになる。また、導電性が面方向では高く、面外方向では低くなることも、この構造による。ナノファイバーの方向に沿った電子の移動だけでなく、セラミック層の間にある水の層中のイオンも電気を流す働きを持っている。

従って、セラミックペーパーの機械特性と電気特性は、ともに含有する水の量によって変化する。乾燥および熱処理には、主に結合の弱い水分を除去することによって、セラミックファイバーに密な構造を持たせる効果がある。これにより、ナノファイバー間の接合が強化されるため、硬度が増強される。

機械特性と電気特性・化学特性の組み合わせから、セラミックペーパーには様々な応用が考えられる。ファイバー間・スラブ間にイオンを内包できるため、電池の電極材料にも適している。規則的かつ均質な形状の層構造を持つことから、特に面方向に効率よくイオンが移動できるため、二次電池の電極にセラミックペーパーを用いた場合、高い電流密度での急速な充放電が可能になるとみられる。

分子間相互作用によって酸化バナジウム上を電子が高速で移動する性質を利用したガスセンサへの応用も考えられる。酸化バナジウムの核は数μmという微小なものであるため、センサの小型化が可能になる。人工筋肉に応用する場合には、外部からイオンを吸収させて紙を膨張させる方法を用いる。挿入するイオンの数によってアクチュエータの動作を制御することで、セラミックペーパーを使った微視的なサイズでのモノの移動ができると考えられる。


マックス・プランク研究所の発表資料

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