MIT、量子ドットとナノワイヤ組み合わせた太陽電池セルで変換効率4.9%達成

このエントリーをはてなブックマークに追加
Share on Facebook

マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームが、PbS量子ドットとZnOナノワイヤを組み合わせた太陽電池セルで変換効率4.9%を達成した。同系の量子ドット太陽電池としてはこれまで報告された中で最高の変換効率となっている。2013年2月26日付けの Advanced Materials に論文が掲載されている。

量子ドット・ナノワイヤ太陽電池のSEM像 (JEAN, ET AL/ADVANCED MATERIALS)

太陽電池を設計する上では、光吸収層の厚さをどの程度にするかという問題について、トレードオフの関係が存在している。光を十分に吸収するためには光吸収層が厚いほうが良い。一方、光電変換によって生成された電子をセルの外部に取り出して電気エネルギーとして利用するためには光吸収層が薄いほうが望ましい。光吸収とキャリア取り出しという2つの観点からは、光吸収層の厚さに要求される条件が相反したものになる。

今回の量子ドット太陽電池では、ZnOナノワイヤを利用することによって、このトレードオフ関係を緩和することを試みた。ZnOナノワイヤをボトムアップ成長させ、そこにPbS量子ドットを埋め込んだデバイス構造とすることで、光吸収層の厚みをナノワイヤの長さ方向に確保し、同時にナノワイヤの導電性によって十分なキャリア取り出しができるようにした。この結果、試作したデバイスの電流密度は従来比50%増の20mA/cm2に増加し、変換効率は同35%増の4.9%に向上したという。

写真は、ZnOナノワイヤ配列(上)と、太陽電池セルの断面(下)のSEM像。断面像中、ナノヤイヤの周りで暗く見えている部分がPbS量子ドットで、最上部の明るい帯は金電極層、底部の明るい領域はITO透明電極層である。

量子ドット太陽電池の長所の1つとして、広範囲の波長の光を吸収するための調整が従来型太陽電池と比べて行いやすいという点がある。ナノワイヤの寸法および密度の制御性を向上させることで、量子ドット太陽電池の性能を引き上げられることを示したことが、今回の研究の成果であるといえる。研究チームでは、さらなる技術開発を進めることで、商用太陽電池として使える10%超の変換効率を実現できるとみている。


発表資料

おすすめ記事

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...