ライス大、高性能リチウムイオン電池正極材を開発。グラフェンで被覆した酸化バナジウム・リボン使用

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ライス大学の研究チームが、グラフェンで被覆した酸化バナジウム・リボンによるリチウムイオン電池用正極材を開発した。試作したハーフセルでの試験では、20秒での急速充放電が可能で、1000サイクル以上の繰り返し充放電後も初期の90%超の容量が維持されているという。単純な熱水プロセスで作製できるため、量産化に向けた拡張も容易であると考えられる。2013年3月11日付けの Nano Letters に論文が掲載されている。

グラフェンで被覆した酸化バナジウム・リボンのSEM像 (Image by Ajayan Group)

酸化バナジウムはこれまでも、高容量リチウムイオン電池の電極材料の候補とされてきたが、電気伝導度が低いため充放電速度が遅いという問題があった。今回、高い導電性を有するグラフェンで酸化バナジウム・リボンを被覆することによって、この問題を解消した。

酸化バナジウム結晶と結合したグラフェンシートはバルク量としては僅かであり、正極材の総重量の84%はリチウムを吸蔵した酸化バナジウムが占めている。1 g あたりのエネルギー密度は 204mAh となっている。研究チームによると、今回の正極材は、これまでに報告されているリチウムイオン電池用電極材料の中でも最高クラスの性能を示しているという。

作製プロセスとしては、浮遊状態の酸化グラフェンナノシートとパウダー状の五酸化バナジウム(2個のバナジウム原子と5個の酸素原子で構成される酸化バナジウムの層状物質)を水に浸し、加圧滅菌器(オートクレーブ)内で数時間加熱する。

熱水プロセスによるグラフェン被覆酸化バナジウム・リボンの作製 (Credit: Ajayan Group)

五酸化バナジウムは酸化バナジウムに完全に還元され、リボン状に結晶化する。一方、酸化グラフェンは、還元されてグラフェンとなる。グラフェンが網目状にコーティングされた酸化バナジウム・リボンの厚さは10nm程度しかなく、幅は最大600nm、長さは数十μm になる。

リボンで構成された三次元構造体は、充放電プロセスにおけるリチウムイオンおよび電子の高速な拡散に適しているとされる。テスト結果によると、通常他の正極材が劣化してしまう高温条件下(75℃)でも、新規正極の200サイクル後のリチウム吸蔵容量は安定的に維持されたという。リボンは溶液中での分散性に優れているため、塗布型電池の部材にも適しているとみられている。


発表資料

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