中国・浙江大学の研究チームが、カーボンナノチューブ(CNT)とグラフェンを用いたエアロゲルを開発し、超軽量材料の世界記録を更新した。密度は0.16mg/cm3しかなく、ヘリウムより軽い。2013年2月18日付けの Advanced Materials に論文が掲載されている。また、2月27日付けの Nature にも同研究のレビューが紹介されている。
今回開発されたエアロゲルは、市販のCNTと化学処理された大面積グラフェンの複合材料であり、超軽量性に加えて-190℃~900℃と広い温度範囲で極めて高い弾性を示す。構造的には、CNTが肋材となって、グラフェンの壁を支える役割を果たすという。
最大で自重の900倍の油を吸収することもできる。有機物を高速で吸収する能力もあり、1グラムのエアロゲルで毎秒68.8グラムの有機物を吸収できる。このため、海洋での石油流出事故に使える可能性がある。その他、エネルギー貯蔵材料、触媒キャリアなどの材料にもなるとみられる。
従来のエアロゲルの製法としては、ゾルゲル法とテンプレート法がある。ゾルゲル法はエアロゲルを簡単に大量合成できるのが利点だが、制御性に問題がある。テンプレート法を用いると規則的な構造形成が可能だが、テンプレートの精密な構造・寸法が要求されるため量産性に問題がある。
研究チームでは今回、エアロゲルの新しい製法としてフリーズドライ法を開発した。この方法では、CNT・グラフェン溶液をフリーズドライ処理することで、任意の形状に整形可能なカーボンスポンジを得られる。テンプレートを必要としないため、エアロゲルの大きさは容器のサイズだけで決まる。容器を大きくすれば、数千cm3以上の大きなエアロゲルを作製することもできるという。
発表資料
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