IBM、イオン流による不揮発性デバイス動作を実証。イオン液体を使って酸化物の金属-絶縁体遷移を可逆制御

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IBMの研究チームが、電子の代わりにイオンの流れを用いた不揮発性デバイスの動作技術を実証した。既存のシリコン半導体チップに比べて、不揮発性メモリおよび不揮発性ロジックの消費電力を低減できるとみられる。デバイス微細化の物理的限界に近づいているシリコンを超える新規材料技術として注目される。2013年3月22日付けの Science に論文が掲載されている。

イオン液体によってゲート動作するデバイス (Credit:IBM)

研究チームは今回、金属酸化物とイオン液体の界面に電界をかけて酸素イオンを挿入・除去することによって、金属酸化物の状態を絶縁体と伝導体の間で可逆的に変化させられることを明らかにした。もともと絶縁体である金属酸化物がひとたび伝導体に変化すると、デバイスへの電力供給を止めても安定した金属状態がそのまま維持されることが実験によって示された。この現象を動作原理に用いて、新しいタイプの不揮発性デバイスが実現できることになる。

金属酸化物として絶縁体の酸化バナジウムを用い、これに正電荷を持つイオン液体電解液をかけることで金属状態に変化させた。5K以下の低温では、酸化バナジウム薄膜の金属状態から絶縁体への遷移が抑制され、金属状態がそのまま維持された。安定した金属状態はイオン液体を完全に除去した後も続いた。負電荷をもつイオン液体電解液をかけると、元の絶縁体に戻った。

このように金属-絶縁体間を遷移する材料については、これまでも長年に渡って研究が行われてきた。しかし、金属酸化物への酸素の出し入れが強い電界のかかった酸化物の状態変化に関与しているという今回の発見は、以前の研究結果とは反対のものであるという。また、温度変化や外的な力が加わることで材料が伝導状態から絶縁状態に遷移する現象は以前から知られているが、これらがデバイスに応用された例はない。

図の左側は、イオン液体によってゲート動作する代表的なデバイスの光学顕微鏡像。ゲート電極と酸化物チャネルの表面にイオン液体の液滴がかかっている。金の四角形はコンタクト用電極パッド。右はデバイスの拡大像で、暗い黄色がチャネル部、明るい黄色が金電極。チャネル部の左右にソースとドレインがある。それ以外の4つの接点は、4点式抵抗測定およびホール測定に使われる。


IBMの発表資料

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