JAMSTECと東大、南鳥島周辺に超高濃度レアアース泥を発見

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海洋研究開発機構(JAMSTEC)海底資源研究プロジェクトの鈴木勝彦主任研究員らと、東京大学大学院工学系研究科附属エネルギー・資源フロンティアセンターの加藤泰浩教授らは、南鳥島南方の海底下3m付近に最高6500ppm(0.65%)を超える超高濃度のレアアースを含む堆積物(レアアース泥)が存在し、複数の地点で海底下10m以内の浅い深度からレアアース泥が出現することを発見した。

調査航海のピストンコア採取地点 (出所:JAMSTEC)

2013年1月に深海調査研究船「かいれい」によって実施した研究航海において、南鳥島周辺の水深5600m~5800mの海底から採取した堆積物のコア試料の化学分析を行い、海底表層付近におけるレアアース濃度の鉛直分布を調べた結果、超高濃度レアアース泥の存在が確認された。サブボトムプロファイラー(SBP:音響による海底表層地層探査)によって、レアアース泥の出現深度や厚さの情報を効率的に取得できることも分かった。南鳥島周辺のレアアース資源の賦存量や分布など、レアアース泥の成因解明や開発に必要な科学的知見をもたらすと期待される。

今回の調査航海では、南鳥島周辺の海底表層付近におけるレアアース濃度の鉛直分布を確認するため、2013年1月21日から31日に「かいれい」による南鳥島周辺の調査を行い、数地点においてピストンコアラー(最大で海底から20m長のコア試料採取可能)を用いて海底堆積物のコア試料の採取を行った。最も高濃度だった地点PC05のレアアース泥(6500ppm)は、タヒチ沖に分布するレアアース泥(1000~1500ppm)の4~6倍、ハワイ周辺海域(600ppm)の10倍の濃度に達することが確認された。また、別の地点PC04でも、5000ppmに達する高濃度のレアアース泥が海底下8m付近に分布していた。

PC4およびPC5の総レアアース濃度の深度分布 (出所:JAMSTEC)

 
南鳥島地域は、太平洋プレート上のレアアース濃集海域を通過してから3000万年以上が経過しており、その間にレアアースを含まない表層泥がレアアース泥の上に10m以上堆積していると予測されていた。しかし、今回の調査により、表層堆積物の被覆は予測よりはるかに薄く、超高濃度のレアアース泥が比較的浅い深度に存在していることが判明した。この理由の1つとして、堆積した物質が堆積物中で脱水や化学反応によって別の物質や鉱物に変化する「続成作用」で形成されたレアアースを取り込みやすい鉱物が、堆積物中で放出されたレアアースを捕らえて、濃集した可能性が考えられるという。

サブボトムプロファイラーによる地下構造イメージを比べると、PC04ではレアアース泥の上に表層泥の存在が確認される一方で、PC05では表層泥が見られない。これは採取したコア試料のレアアース濃度のプロファイルや岩相変化とよく対応しており、船上からのサブボトムプロファイラー観測によって、レアアース泥の出現深度や厚さについての情報を効率的に推定できることを示唆している。

サブボトムプロファイラーによるPC04およびPC05を採取した地点の海底下の地質構造イメージ (出所:JAMSTEC)

 
今回得られたデータを基に、研究チームは今後、他の地点のコア試料の分析とその検証を進める。また、微小領域の分析や化学状態分析を通じて、レアアースを濃集している鉱物相の特定を行い、レアアース泥の生成プロセスを明らかにしていくとしている。今後の調査航海では、サブボトムプロファイラーによる海底下数十メートルの地質構造を調べ、ピストンコアラーによるコア試料の採取とその分析を通じて、南鳥島周辺のレアアース資源の分布など、今後の開発に必要な科学的知見の取得を予定する。今回の成果については、さらに解析を加え、2013年5月に開かれる日本地球惑星科学連合2013年大会で発表される予定。


JAMSTECの発表資料

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