ライス大、CNTを使ったスーパーキャパシタを開発。苛酷な環境下でも動作可能

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ライス大学の研究チームが、カーボンナノチューブ(CNT)を使って高容量と急速充放電を両立するスーパーキャパシタを開発したとのこと。極端な低温および高温の苛酷な温度環境でも動作し、ナノレベルの回路から発電プラントまで、幅広い用途でエネルギー貯蔵デバイスとして使用できるとしています。

CNTの束がアルミナおよびアルミニウム・ドープした酸化亜鉛でコーティングされている様子の電子顕微鏡画像 (Credit: Hauge Lab/Rice University)

標準的なキャパシタの特徴は、急速充放電と数十万回のサイクル寿命。これに対して、スーパーキャパシタ(電気二重層キャパシタ)は急速充放電性能を維持しつつ、二次電池に匹敵する容量を持ち、標準的なキャパシタの数百倍のエネルギーを貯蔵できるというハイブリッド型デバイスです。

しかし、従来の電気二重層キャパシタには、電解液またはゲル状電解質を用いる必要があるため、極端な低温・高温に弱いという問題がありました。ライス大が開発したスーパーキャパシタは、ナノスケールでコーティングした固体の酸化物誘電体材料で電解質全体を置き換えることによって、この問題を解決しています。

図のように原子層堆積(ALD)によって単層CNTの束にアルミナ(Al2O3)とアルミニウム・ドープした酸化亜鉛(Al-doped ZnO)をコーティングしてナノキャパシタを形成する (Credit: Hauge Lab/Rice University)

高容量化のカギは、電子が存在することのできる表面積をより多くとること。微小な空間に大きな表面積を確保できるという点では、CNTに優る材料はありません。

CNTが成長すると、自己組織化によって周密な配列構造が形成されます。ちょうど、毛足の長いカーペットを顕微鏡サイズにしたような構造です。一つ一つのCNTの束は、スーパーキャパシタとなった後でも、幅に対して500倍の長さがあります。微小なチップ1個の中に、数十万本のCNTの束が収まることもあります。

垂直配向した単層CNTを損傷なく導電性基板上に移植する手法を開発。ALDで加えられた金属層によって、苛酷な環境への耐性を持つ固体のスーパーキャパシタを実現している (Credit: Hauge Lab/Rice University)

今回のデバイスで、研究チームは、15~20nm径の単層CNT束の配列を50μm長に成長させました。その後、接着性と電気的安定性を補助するために金とチタンの薄膜を形成した銅電極上に、CNTの配列を移植。CNTの束(主電極)には、導電性を増強するために硫酸をドーピング、さらに原子層堆積(ALD)プロセスによって、酸化アルミニウム薄膜(誘電体層)とアルミニウム・ドープした酸化亜鉛(対電極)で覆いました。電極の最上層に銀を塗布することで回路が完成します。

「私たちが作ったのは、本質的には金属/絶縁体/金属構造です」と研究チームの Cary Pint氏は言います。「今回のように、ALDプロセスを利用し、高アスペクト比の材料でこのような構造が作られた例は今までありませんでした」

化学者の Robert Hauge氏は、このスーパーキャパシタは安定性が高く、さまざまな分野に拡張可能であるといいます。「固体相でエネルギー貯蔵を行う方法は、数多くの次世代デバイスへと深く統合されることになるでしょう。こうしたデバイスの例としては、フレキシブルディスプレイ、生体埋込デバイス、様々な種類のセンサなどが考えられます。その他、急速充放電のメリットがある分野にはすべて応用可能です」

スーパーキャパシタには、高振動環境下で電荷を保持する能力や、様々な材料に自然に組み込めるなどの特徴もあるとPint氏は指摘します。同氏は、電池機能を持たせた電気自動車のボディ材や、患者の血管に治療目的で注入するマイクロロボット用の無害な電源などにもスーパーキャパシタが応用されるようになる、と予想しています。また、砂漠や人工衛星などに設置される太陽電池といった苛酷な環境下での使用についても、スーパーキャパシタは理想的なデバイスとなります。特に人工衛星は、軽量性も非常に重要な要素となるため、有望な用途であるといいます。


発表資料

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