ケンブリッジ大、リチウム硫黄電池用の新規正極材を開発。サイクル寿命が向上

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ケンブリッジ大学の研究チームが、リチウム硫黄電池用の新規正極材を開発した。カーボンナノチューブ(CNT)と硫黄の複合材料で、リチウム硫黄電池の課題となっているサイクル寿命の短さを解消できると期待されている。

CNT-硫黄正極材のマイクロ構造のSEM像 (Credit: Can Zhang)

新規正極材では、金属の発泡層上にCNTを森のように成長させる。CNTの3次元構造を足場として、正極材の硫黄を注入する。金属発泡層の多孔質構造と高密度のCNTから得られる大きな表面積によって硫黄微粒子が保持される。

従来のリチウムイオン電池の充放電サイクル寿命が500サイクル程度あるのに対して、リチウム硫黄電池は、80サイクル以下という寿命の短さが実用化を阻む問題となっている。今回のCNT-硫黄正極材では、リチウム硫黄電池のサイクル寿命を250サイクル超まで延ばすことができるという。

リチウムイオン電池の材料コストのうち、35~40%が正極材原料(リチウムおよびコバルト、マンガン、ニッケルなどの金属酸化物)であるとされる。安価な硫黄を用いるリチウム硫黄電池では、材料コストを大幅に低減できる。電池容量も従来のリチウムイオン電池から2倍程度に増やすことができる。

CNT-硫黄正極材の開発を行ったポスドク研究者 Can Zhang 氏らは、技術の商用化をめざしてベンチャー企業 CamBattery を起業。今後2年間で、同正極材の連続生産を行えるロール・ツー・ロール方式の装置を開発し、電池メーカー向けに販売することを計画している。現時点で達成しているサイクル寿命は、民生用二次電池分野への参入には十分ではないが、寿命よりも容量の高さが重視される航空宇宙用途、軍事用途では実用化できる見込みが高いという。同時に、電子機器、自動車など民生分野にリチウム硫黄電池の適用するためのサイクル寿命のさらなる延長に向けた研究も続けていくとする。


ケンブリッジ大学の発表資料

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