米CalBattery、リチウムイオン電池用シリコン・グラフェン複合負極の商用化めざす。ANLがライセンス供与

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米アルゴンヌ国立研究所(ANL)とカリフォルニア・リチウム・バッテリー(CalBattery)が、高容量リチウムイオン電池用のシリコン・グラフェン複合負極材の技術ライセンス契約を結んだ。CalBatteryでは、ANLが開発したシリコン・グラフェン複合負極材の早期商用化を計画している。同材料は、最新のグラファイト負極の容量を3倍増加させることができるという。

a)シリコン・グラフェン複合体のSEM画像、b)堆積したシリコン粒子の高解像度TEM画像 (Jian-Guo Ren et al., Energy Technology (2013) doi: 10.1002/ente.201200038)

CalBatteryは、ロサンゼルスを拠点としてリチウムイオン電池負極の開発を行うベンチャー企業。オバマ政権が実施するベンチャー起業支援事業「スタートアップ・アメリカ」による助成の下、ANLと共同でシリコン・グラフェン複合負極材の開発を進めてきた。電力貯蔵用の定置型蓄電システムや、電気自動車・ハイブリッド車用途などの市場に向けてシリコン・グラフェン複合負極材の提供を行っていく。

シリコン負極の容量は理論的にはグラファイト負極の10倍あるとされるが、リチウムイオン吸蔵時に体積が著しく膨張するなど動作が不安定なため実用化に至っていない。ANLが特許を取得している技術は、ナノサイズのシリコンをグラフェンに埋め込むというもので、これがシリコンの安定化を促すという。

ANLの論文によると、合成プロセスとしては、シリコンを含有した液状の前駆体トリクロロシランを使用し、シリコン粒子をCVDによってグラフェン表面に堆積させる。グラフェンを置いて予備加熱した炉内に、気化させたトリクロロシランと水素を同時に導入してCVD処理すると、粒径が600nm程度に揃った高品位な結晶シリコン粒子がグラフェンシートの両面に堆積するという。

ANLとCalBatteryの共同研究開発では、この複合負極材を複数の種類の正極材および電解質と組み合わせて、完全動作するリチウムイオン電池を作製し、その性能などを確認してきた。複合負極材は、既存および新規の様々な正極・電解質に適合するものであるという。

米国エネルギー省(DOE)の技術移転コーディネーター Karina Edmonds 博士は、ANLとCalBatteryの連携について、「スタートアップ・アメリカの一環であるDOEのプログラム America’s Next Top Energy Innovator によって実現された官民協力の好例である」とコメントしている。


発表資料

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