UCSB、水中の金ナノ粒子と太陽光エネルギーで水素生成。表面プラズモンを利用

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カリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)の研究チームが、水中の金ナノ粒子と太陽光エネルギーを利用し、水から水素と酸素を発生させる新しいタイプの太陽エネルギー利用法を開発した。金ナノ粒子に太陽光が当たると、表面プラズモン効果によって電子が励起し、電子と正孔のペアが生成される。この電子正孔対を使った酸化還元反応によって、水から水素と酸素を発生させることができる。2013年2月24日付けの Nature Nanotechnology に論文が掲載されている。

プラズモンを利用した太陽光水分解デバイスの構造と動作機構 (Syed Mubeen et al,. Nature Nanotechnology (2013) doi:10.1038/nnano.2013.18)

今回開発された太陽光による水分解デバイスは、白金ナノ粒子で修飾した二酸化チタン結晶層で金ナノロッドの上部を覆った構造となっている。金ナノロッド下部には、コバルト系の酸化触媒が成膜されている。ナノロッドに可視光が当たると、金属表面の伝導電子が集団的に振動して大量の光を吸収する表面プラズモン効果が起こる。

光によって励起されたプラズモン波中の電子はナノロッド上を移動し、二酸化チタン層を通って白金ナノ粒子に捕捉される。白金ナノ粒子の触媒作用によって還元反応が促進し、水素イオンに電子が供与されて気体の水素が発生する。一方、電子の励起とともに生成された正孔はナノロッド下部のコバルト系触媒部に移動する。コバルトの触媒作用によって酸化反応が促進し、水から分離した気体の酸素が発生する。

図(a)は、ナノロッドによる光合成ユニット断面の模式図。図(b)は実際の断面の透過電子顕微鏡(TEM)による画像。図(c)は、プラズモン効果による太陽光水分解プロセスでのエネルギー準位のダイアグラムを表している(CB:伝導帯、VB:価電子帯、EF:フェルミエネルギー)。

太陽光での水分解は、従来の半導体材料を使って行おうとすると、光腐食によって数分で使用不能になってしまう。これに対して、金ナノロッドには、光腐食の影響を受けないという特徴がある。UCSBの化学教授 Martin Moskovits 氏によると、デバイスは壊れることなく何週間も作動し続けたという。

論文では、1sun強度での光照射(100mW/cm2、AM1.5の擬似太陽光)の下で、外部配線のないナノロッドから1cm2あたり毎秒 5×1013個の水素分子が生成され、長時間安定して動作したと報告されている。プラズモンを利用した水分解法のエネルギー変換効率はまだ低く、従来の光プロセスと比べてコストも高いが、研究チームでは、こうした課題は今後それほど時間をかけずに解決できると考えているという。


UCSBの発表資料

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