「中国の窒素堆積量は過去30年間に年率60%増加、環境に深刻な影響」スタンフォード大が分析

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スタンフォード大学の研究チームが、中国での環境汚染の主要因の1つとなっている「人間活動由来の窒素」について分析結果を報告している。中国が深刻な環境汚染に直面していることは明白だが、これまで窒素排出量・堆積量に関する定量的研究が行われたことはなかったという。2013年2月20日付けの Nature に論文が掲載されている。

スモッグで覆われた上海市街 (出所:ウィキペディア)

スタンフォード大学ウッズ環境研究所の生物学者 Peter Vitousek 氏は、1980年代から2000年代にかけての中国で土壌および水に堆積した窒素量(産業・自動車・肥料に由来するもの)を明らかにした。それによると、窒素の堆積量は、この期間に年率60%の割合で増加してきたという。

過去30年間、中国は世界中で最も多くの窒素を作り出し、排出してきた。肥料としての窒素の使用量は1980年代から2000年代にかけて約3倍増加し、家畜頭数と石炭燃焼量はそれぞれ約4倍増加した。自動車台数は約20倍に増加した。このような窒素増加が、大気環境の悪化、土壌と水の酸性化、温室効果ガスの増加、生物多様性の減少など、深刻な影響を引き起こしている。

「こうした変化のすべては、高い経済成長と関連付けることができる。経済成長によって、農業およびそれ以外の分野での窒素排出が増加し続けた結果、窒素堆積量の増加を招いた」と研究チームは指摘する。

今回の研究では、1980年代からの窒素堆積量の顕著な増加が、工業化された中国北部・南東部および南西部で起こったことが示された。中国北部平野における窒素レベルは米国のどの地域よりも高く、英国およびオランダで1980年代の窒素堆積ピーク時に観測された最大値に匹敵している。中国での肥料の使用量は、米国と欧州での使用量を合わせたよりも多くなっている。非効率な使われ方をしているため、半分以上の肥料はガス化または溶解して環境中に流出しているとみられる。

中国での1980~2010年における窒素堆積量とその構成要素の変化 (Xuejun Liu et al., Nature (2013) doi:10.1038/nature11917)

 

中国での1980~2010年におけるNH3とNOx排出量および主要因 (Xuejun Liu et al., Nature (2013) doi:10.1038/nature11917)

 
論文によると、堆積した窒素成分のうち最も大きな割合を占めているのはアンモニア(NH3)由来の窒素だが、増加の割合が最も高いのは硝酸塩(NO3-)由来の窒素であるという。これはNH3のNOxに対する比率が1980年以降下がっていることとも一致する。研究チームは、農業で使用される窒素の効率改善と産業・輸送分野などからの窒素排出削減が中国の環境規制の中心に置かれるならば、窒素堆積の問題をコントロールすることは可能であるとの立場を取っているという。


スタンフォード大学の発表資料

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