韓国UNIST、ボールミル粉砕を利用した燃料電池触媒向けグラフェン官能基化技術を開発

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韓国・蔚山科学技術大学校(UNIST)の研究チームが、端部を選択的に官能基化したグラフェンナノプレートレット(EFGnPs: Edge-Functionalized Graphene Nanoplatelets)の大量生産技術を開発した。乾式ボールミルを用いて、グラファイトを様々な種類のガス中で粉砕することによって、EFGnPsを高効率かつ低環境負荷で製造できるという。

ボールミル粉砕によるグラフェンナノプレートレットの官能基化 (In-Yup Jeon et al., J. Am. Chem. Soc (2013) doi: 10.1021/ja3091643)

近年、燃料電池や金属空気電池への応用可能性という観点から、ヘテロ原子ドーピング処理を行ったナノ炭素材料の電解触媒活性に対する関心が高まっている。グラファイト構造にヘテロ原子ドーピングを行う手法はいくつかあるが、従来法には製造コストが高く、技術的に難しいといった問題があった。

今回UNISTが開発した手法は、乾式ボールミルによってガス中でグラファイトを粉砕するという単純なもの。ボールミル粉砕機にガス、液体または固体の化学材料を加えることでグラフェンナノプレートレット端部に様々な官能基を導入することができるという。

ボールミルでの粉砕プロセスでは、グラファイトの炭素結合が機械化学的に切断されて生じる反応性炭素種と粉砕機内に封入されたガスが反応し、端部選択的な官能基化が進む。粉砕機内に残存した未反応の活性炭素種は、反応プロセス後に空気中の水分と接触させることによって終端される。この結果、ヒドロキシル基やカルボン酸などいくつかの酸化官能基がEFGnPs端部に導入され、グラフェン底面の官能基化による歪みは最小化される。

機械化学的破砕によって粒界の大きなグラファイト片が粒界の小さなEFGnPsに変化することは、走査電子顕微鏡(SEM)を用いた観察で実証されている。反応性の炭素種とガスが結合するため、ボールミル処理後のEFGnPsは、原料のグラファイトと比べて重量が増加する。これらの実験結果は、グラファイトの機械化学的な官能基化が効率的であることを示唆するものであるという。生成物であるEFGnPsは燃料電池における酸素還元反応に利用できる高い活性を持っており、高価な白金触媒を代替できる可能性がある。

米国化学会誌(JACS)に掲載された論文によると、水素、二酸化炭素、三酸化硫黄および二酸化炭素/三酸化硫黄混合ガス中でボールミル粉砕して作製したEFGnPsは、空気中の水分に接触させた上で、天然水を含む種々の極性溶媒中に分散させることができた。これらのEFGnPsの電解触媒活性を比較すると、活性が高い順に、硫酸GnPs>カルボン酸/硫酸GnPs>カルボン酸GnPs>水素GnPs>官能基化していないグラファイトの順になった。特に、硫黄を含有する硫酸GnPsおよびカルボン酸/硫酸GnPsは、商用化されている白金触媒を上回る酸素還元反応性能を示したという。


発表資料

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