九州大、CNTを利用した高性能燃料電池触媒を作製

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九州大学 工学研究院・カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所(I2CNER)の中嶋直敏教授、藤ヶ谷剛彦准教授らの研究グループが、カーボンナノチューブ(CNT)に触媒を担持する新たな方法を開発している。同手法によりCNTの強固な構造を壊すことなく、反応がスムーズに進行する構造で触媒を担持することが可能になった。2013年2月19日付けの Advanced Materials オンライン版に論文が掲載されている。

ボトムアップナノ集積法による触媒担持スキームと作製した触媒のSEM画像(出所:九州大学)

現状の燃料電池では、電極材料としてカーボンブラックが使われている。燃料電池の反応効率と寿命を向上させるには、ナノサイズ化した白金触媒を電極上に均一かつ長時間担持させる必要があるが、カーボンブラックは電池の動作中に溶解していき、白金を長時間担持できないという問題がある。

そこで、カーボンブラックよりも強固な構造を持つCNTが注目されているが、CNTには構造上、白金を担持しにくい性質があるため、構造に欠陥部を導入することで白金を担持させる手法が用いられることが多い。この方法では、CNTが本来持っている耐久性が失われてしまう。

ボトムアップナノ集積法と従来法の触媒界面構造の比較(出所:九州大学)

 
研究チームは2009年に、「のり」の役目をする高分子「ポリベンズイミダゾール(PBI)」をCNT表面に均一にコーティングすることで白金を担持しやすくする手法を開発。この手法では、添加した白金のほぼ100%が担持され、白金のサイズ均一性や分布の均一性にも優れることを明らかにした。

PBI は電子を通さないため、コーティング厚を数nmに制御することにより、CNTと白金の間で触媒反応に必要な電子の受け渡しが行えるようにした。また、PBI には酸をドープすることで触媒反応に必要な水素イオンを運搬する能力があるため、反応に必要な燃料ガス(水素や酸素)が白金表面に到達しにくくなる従来の燃料電池の弱点を克服できるという。

これらの研究成果から、耐久性に優れたCNTの構造を維持しつつ触媒反応を有利にする「三相界面構造」を作り込む新しい触媒作製法を確立。この手法を「ボトムアップナノ集積法」と名づけた。

従来用いられていた水素イオン運搬高分子が加湿を必要とし、低温(80℃以下)の発電であったのに対し、PBI は加湿を必要とせず、触媒反応に有利なより高温(100℃以上)でも水素イオンを運搬できる。このため、より安価かつ高効率な発電システムが実現できるという。2011年には、実際に120℃無加湿条件での高効率発電に成功している。

燃料電池の実用化には高価な白金を大量に使用することが問題となっているが、電池の長寿命化や単位白金あたりの活性向上によって、白金使用量の低減が可能となる。研究チームでは今後、本格的な実用化を視野に入れて実証試験を行っていくとしている。


PDF形式の発表資料

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