環境研、PM2.5高濃度現象の分析データ公開。大陸からの飛来示唆

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国立環境研究所が、2013年1月から2月初めにかけて日本各地で観測されたPM2.5(直径2.5μm以下の超微粒子)の高濃度現象を、観測データとシミュレーションモデルをもとに調べ、その結果を発表した。全国の一般環境大気測定局における環境基準値超過日数(1日平均値35μg/m3を超過した日数)は16日あったこと、西日本で広域に濃度が上昇し九州西端の離島でも高濃度が観測されたこと、観測とシミュレーションモデルの結果を総合すると越境大気汚染が影響していた可能性が高いこと、大都市圏では越境汚染と都市汚染が重合して濃度が上昇した可能性があることなどがわかった。

環境省の大気汚染物質広域監視システム「そらまめ君」のデータをもとにした、2013年1月1日~2月5日における日本全国のPM2.5濃度の概況は次の通り。

西日本4地域における日平均PM2.5濃度の平均値および最大値 (出所:国立環境研究所)

まず、西日本4地域の測定局における日平均PM2.5濃度の平均値と最大値を見ると、期間中に何度となくPM2.5濃度が高くなっている特徴が認められる。特に、1月13日前後、1月21日前後と1月30日~2月1日には4地域ともに濃度が上昇し、最大値が50μg/m3を超過する地域もあった。

また、全国の測定局における環境基準値超過日数は16日だった。 1月13日、21日、30日、31日、2月1日には、それぞれ、27.0%、7.6%、12.0%、31.0%、21.1%の測定局で環境基準値を超過した。全国の測定局における環境基準値超過日数の地点分布を見ると、環境基準値を超過した測定局が多かった地域は九州、中四国、近畿などだった。

全国の測定局におけるPM2.5濃度の有効測定局数と環境基準値(1日平均値35μg/m3)を超過した測定局数 (出所:国立環境研究所)

2011~2013年の各1月に環境基準値を超過したデータ数の割合(超過局・日数/有効測定局・日数)は、西日本では、2011年が1.0%、12年が3.5%、13年が4.0%だった。東日本では、11年が0.3%、12年が0.2%、13年が1.0%だった。

環境基準値超過局が多かった4日間におけるPM2.5高濃度地域は、1月13日は九州中部・瀬戸内・近畿・関東北部、1月30日は九州北部・北陸、1月31日は九州北部・瀬戸内、2月1日は九州中部・瀬戸内・東海だった。これらの結果から、主として九州北部や瀬戸内地域などの西日本で高濃度が発生し、東海や関東北部でも都市域スケールで高濃度になったと考えられる。

測定局で観測された日平均PM2.5濃度の水平分布 (出所:国立環境研究所)

日本列島西端に位置する福江島観測サイト(長崎県五島列島)で環境研が測定したPM1.0相当の粒子状物質の成分5種の濃度を見ると、5成分合計のうち、硫酸塩粒子が48%程度、有機粒子が35%程度を占めていた。硝酸塩、アンモニウム、塩化物は少なかった。硫酸塩粒子と有機粒子は、PM2.5においても主要な成分であったと推定される。

福江島におけるPM1.0相当の粒子状物質の成分別濃度(μg/m3) (出所:国立環境研究所)

次に、環境研が所有する東アジアスケールの大気シミュレーションモデルによる結果と「そらまめ君」データをもとに、日本のPM2.5高濃度現象に対する大陸からの越境汚染の影響を検討した。

環境基準値超過局が多かった1月13日、30日、31日、2月1日におけるシミュレーションモデルで計算されたPM2.5地上濃度と地上風(日平均値)の結果から、これらの日には大陸で発生したと考えられるPM2.5の高濃度気塊が北東アジアの広域を覆い、その一部が日本列島の一部に及んでいる様子が伺える。

シミュレーションモデルで計算されたPM2.5地上濃度と地上風。図中の矢印は向きと長さで 風向風速を表し、色は青(10μg/m3)から赤(140μg/m3)でPM2.5濃度を示す (出所:国立環境研究所)

PM2.5(およびSPM)の観測値とモデル(WRF-CMAQ)による計算値をもとに、日本の8地域における2013年1月5日~2013年1月31日のPM2.5濃度平均値の東西変化を解析した結果も、西高東低の分布を示しており、大陸からの越境汚染の影響が示唆された。このモデルの結果は、他のモデル(CFORS)の結果とも整合しているという。


発表資料

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